こんにちは。リアだよ。
昨日の朝、私はパパの目覚ましと一緒に目を覚ましたの。まだ外は暗くて、家の中もシンとしていたけれど、私はゆっくり体を起こして、洗面所まで歩いていったんだ。
そこには、いつものように、パパがいたの。私はそのままじっと、パパの動きを見てたんだよ。言葉は交わさないけれど、私たちの間にはちゃんと流れてるものがあるのよ。
この頃は、ごはんを食べない日も増えてきたし、お水だけで一日を過ごすこともあるけれど、でもね、昨日はちょっと違ったの。
ママが、少しでも食べてくれたらって出してくれたチーズ。本当は昔、心臓のことを考えて控えていたものなんだけど、今はもう、少しでも「おいしい」と感じてくれるなら、って思ってくれたんだって。
その気持ち、ちゃんと伝わったのよ。私は迷わず、チーズをもぐもぐって食べたの。
たったそれだけかもしれないけど、それは私の中で、とっても大きな前進だったの。今日はそんな、小さな一歩のことを、あなたにお話しするね。
朝5時にパパと一緒に目を覚ましたリア

昨日の朝、まだ空も暗くて、家の中はしんと静まりかえっていたころ、パパの目覚ましが鳴って、私はその音と一緒に、目をぱちっと開けたの。
最近の私は、朝になってもなかなか起き上がれなかったり、眠ったまま動かない日も増えてきたんだけど、昨日はなぜか、すっと体が動いたんだ。「あ、パパが起きる時間だ」って、なんとなくわかったのよ。
それで私は、ゆっくり体を起こして、トコトコと洗面所まで歩いて行ったの。そこには、身支度を始めたパパがいたの。私はそのまま、洗面所の入り口にぺたんと座って、じーっと、パパの動きを見つめてた。
声をかけたわけでもないし、パパが私のところに来たわけでもなかったけど、でも、私たちはちゃんと目と目が合ってたの。パパは、毎朝こうして出勤していくんだけど、私はできる限り、その姿を見ていたいの。
最近は体が重くて、見送りに行くのも難しい日があるけど、昨日の私は、少しだけそのいつもの日常に近づけた気がしたんだ。パパにとっては、もしかしたら特別じゃない朝だったかもしれない。でも私にとっては、あの時間がとても特別だったの。
私が起き上がって歩いて、洗面所まで行って、じっとパパを見ていられた、それだけで、昨日の朝は、ちゃんと始まったって思えたんだ。あなたのお友達にも、きっと静かだけど大切な朝があるんじゃないかしら。
一緒にいるだけで心があたたまるような、そんな時間を、昨日の私は過ごせたのよ。
少しのチーズに込めた気持ち

昨日の朝はね、ママがちょっとでも食べられたらって、いつもと違うごはんを出してくれたの。それはね、チーズ。犬用のおやつチーズだったのよ。
ほんの少しだけ、やわらかくて、においがしっかりしてて、昔だったら、ぺろっと食べてたやつ。でもね、元気なころの私は、このチーズ、もらえなかったのよ。
だって、心臓のことがあるからって、塩分や脂肪が気になるって、ずっと控えてたの。
ママもパパも、「おいしそうだけど、リアにはちょっと」って、何度もがまんしてきたんだと思う。
でも、昨日の私は、ごはんを食べる元気もなくて、そんな私に、ママがそっと差し出してくれたのが、そのチーズだったの。
「もう、少しくらいならいいかな」そう思ってくれた気持ちが、私にはちゃんと伝わったんだ。私は、においをかいだだけで「これだ」ってわかったの。そして、何のためらいもなく、もぐもぐ、もぐもぐ。ゆっくりだけど、確かに、自分の意志で食べたのよ。
たった数口だったけど、そのひとくちは、ただの栄養じゃなくて、私、まだ食べたいって思えるよっていう気持ちのしるしだったの。
食べるって、本当に力がいることなの。シニア犬になればなるほど、食べたい気持ちも薄れてくるし、体がうまく動かなくなってくるし、においにも鈍くなる。でも昨日の私は、確かにそのとき、食べたいって思ったのよ。
あなたのお友達にも、最近はごはんを食べなくなってきたっていう子がいるかもしれない。
でも、そんなときにね、ちょっと特別な、ちょっとだけ反則気味なおいしいものを思いきってあげてみるのもいいかもしれない。食べたっていう事実は、私たちにとって、まだ生きる力があるって証明なのよ。昨日のチーズは、私にとって、食べ物以上の価値があったの。
それは、ママのやさしさと、私の「まだ生きたい」という気持ちが重なった、とても大切なひとくちだったんだ。
トイレに自分で行けたんだ

朝にチーズを食べたあと、私はまたぐっすり眠ったの。パパが出勤していくとき、私はすでに夢の中だったわ。静かな家の中で、ぬくぬくと眠っているときって、時間がふんわりと流れていくのよね。気づいたら夕方になってて、あれ?って思うくらい。
そんな一日の中でね、ママがふと気づいたの。
「トイレシーツが、ちょっと濡れてる」って。そう、私は自分でトイレに行って、ちゃんと用を足していたのよ。誰にも声をかけられたわけじゃないし、手助けをしてもらったわけでもない。
眠る途中でふっと目が覚めて、「行かなきゃ」って体を起こして、自分の力でトイレに向かってたの。それは、たぶん誰にも見られてない、ほんのちょっとの出来事だったと思う。でもね、私にとってはとても大きな一歩だったのよ。
年齢を重ねると、トイレも難しくなってくるの。場所がわからなくなったり、間に合わなかったり、そもそも立ち上がるのがつらい日だってあるのよ。だから、たった一回でも、自分で行けたっていうことは、すごく、すごく誇らしいの。
誰にも褒められなくても、誰にも見てもらえなくても、私はその小さな行動に、生きる力を感じたの。あなたのお友達にも、こういう小さな自立の瞬間って、あるかもしれない。失敗しちゃうことのほうが多くなってきても、それでも一回うまくいったときは、ちゃんと気づいてあげてね。私たちにとっては、その一回が、すごくうれしいの。
トイレに行けた。それだけで、昨日の私は、自分に「がんばったね」って言えたのよ。
夜の焼き芋で食べる意志を感じたよ

一日たっぷり眠ったあとの私に、ママが用意してくれたのは、焼き芋だったの。お芋のあま~い香りって、遠くにいてもわかるのよね。鼻先にその香りがふわっと届いたとき、私はすぐに気がついたの。
「もしかして、焼き芋?」
ママが小さくちぎって、そっと差し出してくれた。私はそのまま、ほんの少しだけど、ぺろりと食べたのよ。
ゆっくり、口の中にやさしい甘みが広がって、「おいしいな」って思ったの。それだけで、なんだか心がふわっとあたたかくなった気がしたんだ。
たった一口だけだったかもしれないけど、そのひとくちは、“食べる意志”がちゃんと私の中にあるってことだったのよ。
でもね、そのあとのお肉は、どうしてもダメだった。ママが用意してくれたやわらかい缶詰の肉。以前だったら、よろこんで飛びついたはずなのに、昨日の私は、においをかいで、それきりだった。もう、私の体が、重たいものを受けつけにくくなってきたのかもしれないわね。でも、そういうことも含めて、私の今の状態なのよ。
食べる日もあれば、食べない日もある。チーズは食べたけど、お肉は食べなかった。焼き芋はちょっとだけ、ぺろりと食べられた。
それって、わがままとかじゃなくて、そのとき体が受け入れられるものを、少しずつ選んでるってことなの。私たちシニア犬は、そうやって「食べる」ということとも、毎日向き合ってるの。
だから、昨日の焼き芋のひとくちは、私にとって、ただの栄養じゃなくて、まだ、おいしいって感じたいっていう気持ちのしるしだったのよ。
あなたのお友達にも、食べるものの好みが変わってきたり、ムラが出てきたりしていない?でもね、それは生きてる証でもあるの。「もう何も食べない」のではなくて、「今の自分が食べられるものを、ちゃんと選んでる」ってこと。そうやって、私たちは今日を大切に過ごしているのよ。
布団に潜って眠る静かな夜

焼き芋をちょっとだけ食べたあとは、私は、ふかふかのお布団に体をうずめたの。ひとつ深呼吸して、鼻先をくるんと毛布にうずめて、
そのまま、すーっと夢の中へ。
お布団の中って、特別なのよね。温かくて、やわらかくて、外の音が少し遠くなって、「ここにいれば大丈夫」って、心の奥まで安心できる場所。昨日の夜は、とくに冷え込んでたから、私は毛布の奥の奥まで、ぐいぐいもぐっていったの。
眠りながら、私はふと思ったのよ。
朝にはチーズを食べた。トイレも自分で行けた。焼き芋も少しだけだけど、おいしかった。お肉は食べられなかったけど、それでも私は、今日をちゃんと生きたって、そう思えたの。
そして今、こうしてお布団の中で、心と体を丸ごと包まれて、眠れることが、私にとって一番の幸せだったんだ。
いつまでこうしていられるのかは、もうわからないけれど、私は、まだここにいる。小さくて、静かだけど、確かないのちの音を鳴らしながらね。
あなたのお友達も、きっと似たような夜を過ごしているかもしれないね。「今日はなにも食べなかったな」「さっきからずっと寝てばかりだな」そんな日があっても、どうか心配しすぎないでほしいの。
私たちが静かに眠る夜にも、その奥には、たくさんの思いと、精一杯の力がこもってるのよ。だから、そばにいてくれるあなたがいてくれるだけで、私たちはまだがんばれるって思えるの。
今日の私の一日は、静かだけど、ちゃんと意味のある一日だった。そして、そんな一日を、こうしてあなたに伝えられて、私はとってもうれしいのよ。
リアより


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