昨日のこと、少しだけお話ししてもいい?
夜中のことだったの。私は、なんだかお腹の調子が変で、気づいたら、お通じがたくさん出ちゃってたのよ。
しかも、いつものみたいにうまく出せなくて、あちこちにばらまいちゃってたんだ。
でもね、それは私の体ががんばってる証拠でもあるの。弱くなっても、ちゃんと出そうとする力が、まだ残ってたんだなぁって思えたのよ。
そのあとはぐっすり寝ちゃって、朝方、4時半ごろだったかな、またふっと目が覚めて、水を飲みに起きたの。
ごはんは結局一日食べられなかったけど、それでも私は、今日という日をちゃんと過ごしたと思ってるんだ。あなたのお友達も、こんなふうに静かな一日を送っているかもしれないね。でもね、食べない日も、眠るだけの日も、ちゃんと意味があるのよ。
そんな一日を、少しだけあなたにお話しさせてね。
夜中にお通じがたくさん出たんだ

夜って、静かで落ち着くから好きなの。でもね、昨日の夜中はちょっとだけ特別だったのよ。
なんだかお腹がムズムズしてきて、「出そうだな……」って思った瞬間、急に体が動き始めちゃって。
私、自分でトイレまでちゃんと行けたらよかったんだけど、そのときはもう、体のほうが先に動いてたの。気づいたら、あっちにも、こっちにも、お通じがばらまかれてたの。
しかも、ちょっとやわらかいやつ。そう、下痢だったのよね。きっと、体の中にたまってたものが、一気に出ようとしたのかもしれないわ。
下痢止めは飲んでいるのだけれど、お腹が冷えちゃったのか、それとも、ごはんをしっかり食べてなかったからか、理由はわからないけど、「まだ出せる力があるんだなぁ」って、私は思ったのよ。
そのあとね、私はふーっと落ち着いて、また静かに眠りについたの。ママが気づいたのは、きっと朝になってからだと思うけど、夜の間、私はひとりでちゃんと、自分の体と向き合っていたのよ。
シニアになると、こういうちょっとしたトラブルが増えてくるのよね。
失敗しちゃうこともあるし、誰かに片づけてもらわなきゃいけないこともある。でも、そういう時間を経験するのも、私たちの今を生きてる証なんだって、私は思うようにしてるの。
あなたのお友達も、同じようにうまくいかない日があるかもしれない。でもね、それは「もうダメ」ってことじゃなくて、まだ体ががんばってるっていうメッセージかもしれないのよ。
だから、私は昨日の夜、ちょっと失敗したけど、それでもえらかったねって、自分に言ってあげたい気分だったんだよ。
朝4時半の水分補給

夜中にお通じが出てから、私はふうっと落ち着いて、また深い眠りに戻ったの。お腹の中が少し軽くなったからか、心も少しだけほっとして、体もゆるんでね、そのまま、しばらくすやすや眠ってたのよ。
でもね、しばらくしてまた、ふっと目が覚めたの。時計の針は、まだ4時半。外は真っ暗で、家の中もひっそりしてたけど、私はのそのそと立ち上がって、水の場所まで歩いていったの。
のどが、少し乾いてたんだ。朝方って、なんだか体が乾いてる感じがするのよね。トコトコ歩いて、自分で水を飲みに行けたって、それだけのことかもしれないけど、私にとっては、それがすごく大切な行動だったの。
「まだ、自分の意志で動けてる」
「体はちゃんと、生きようとしてる」
そう思えると、心がちょっとだけ前向きになるのよ。
あなたのお友達も、もしかしたら、最近はあまり動かなくなってきたかもしれない。でも、たとえば水を飲みに行ったり、トイレの近くまで歩いたり、そんな何気ないひとつひとつの動きの中に、ちゃんと生きる力が宿ってるの。
私たちは、たとえそれが短い距離でも、動きたいと思う気持ちがある限り、まだ前に進めてるってことなのよ。
だから昨日の私は、自分で水を飲みに行けたってことだけで、ちょっとだけ自信が持てたの。パパもママも、朝になってそれに気づいてくれると思うと、なんだかうれしくなったのよ。
自分で動けたっていう、それだけのことが、こんなにも心をあたたかくするなんてね。
休むことも立派な時間

お水を飲んだあとは、またお布団に戻って、私はすーっと目を閉じたの。体がちょっと重くて、ごはんのにおいがしても食べたいって気持ちが湧いてこなかったのよね。
昔の私は、お皿の音がするだけでしっぽをふって、ごはんに飛びついてたのに、今は、その元気がなかなか出てこないの。
でも、それがさみしいとか負けてるっていうわけじゃないのよ。むしろ、私は今、自分の体の声にちゃんと耳を澄まして、今は食べないでおこうって決めてるの。
ごはんを食べないで一日を過ごすのは、もちろんママもパパも心配になると思う。でもね、昨日の私は、とにかく体を休ませたいっていう気持ちが強かったの。だから、ずーっとお布団の中で、ときどき寝返りをうちながら、目を閉じてたんだ。
夢を見たような気もするし、静かな時間の中で、ふわふわした気持ちのまま、私の体と心を、ゆっくり休めていたの。
「今日はなにもしなかったな」って、そう思うかもしれないけど、本当はなにもしないって、すごく大切なことなのよ。というのもね、特に私たちシニア犬にとっては、眠ることで、体の中がリセットされたり、少しでも次の日につなげる力を取り戻したりできるの。
あなたのお友達も、一日中寝ている日があったとしても、それはがんばっていないんじゃなくて、自分の体をいたわってるってことかもしれないのよ。
少なくとも昨日の私は、ごはんを食べなかったけど、ちゃんと生きてたよ。眠って、呼吸して、あたたかい空気を感じて、その全部が、私にとっては大切ないまだったの。
今ここ、を大切に

ごはんは食べられなかったし、ずっと寝てばかりだった一日だったけど、昨日の私は、ちゃんと今ここ、この瞬間を生きていたのよ。
夜中にお腹をこわしてしまったけど、それは、体の中にあったものを出そうとする力が、まだ残っているってことだった。朝の4時半には、自分で水の場所まで歩いていけたし、眠る時間をたっぷりとって、今日につながる体の準備をしてたの。
一つひとつの行動は、本当に小さなことだったかもしれない。でもね、シニア犬の私にとっては、その小さなひとつが、まだがんばってるよって伝えるサインなのよ。
ごはんを残しても、一歩も歩かなくても、呼吸して、眠って、目を開けてくれるだけで、あなたのお友達は今を一生懸命生きてる。
それって、すごいことじゃない?
私がここまでこれたのも、パパやママが今の私をちゃんと見て、そのまま受け止めてくれたからなの。「もっと食べてほしい」とか「もっと元気になってほしい」って気持ちも、とってもよくわかるけど、それでも今できることに目を向けてくれたから、私は毎日安心していられるの。
だから、私もこうして、今日はね、ってあなたに話しかけられてるんだと思う。昨日は、特別なことはなにもなかった一日だったかもしれない。でも、私にとっては、かけがえのない生きた時間だったの。
今日もこうして、お話ができてうれしい。明日も、同じように迎えられたらいいなって思ってるよ。
リアより


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