甘えん坊な性格のキャバリアが吠えるほんとうの理由

シニア犬の日常

こんにちは、キャバリアのリアだよ。もうすぐ15歳になるシニア犬。

今日はね、「吠える」ってことについて、わたしの気持ちをまっすぐに話してみようと思うの。もしかしたら、「リア、最近よく吠えるようになったね」って家族から思われているかもしれないけど、そこにはちゃんと理由があるんだ。

じゃあ──わたしの気持ち、聞いてくれるかな?

わたし、リア。吠えないキャバリアとして育った

わたしがこの家に来たとき、まだ小さな子犬だったの。お耳が垂れてて、瞳はうるうるで、しっぽはピコピコ。

でもね、ちっちゃくてもちゃーんとわかってたの。それは、「吠えちゃダメなんだよ」ってパパがやさしく教えてくれたから。パパは、静かな子になるようにって、いっぱい褒めてくれたの。

だからわたし、どんなことがあっても吠えなかった。ピンポーンって鳴っても、ぐっと我慢。他のわんちゃんが吠えても、ぐっと我慢。わたしって、えらかったでしょ?(自分で言うのもなんだけど!)

だって、キャバリアっておとなしくて、人が大好きで、吠えない犬種って言われることも多いから、ぜんぜんつらくなかった。パパの望みに応えたくて、がんばってたの。

でもね……その静かさが、ずっと続いたわけじゃなかったんだ。

ある日、わたしの中で音がぼやけてきた

いつだったかな、はっきりした日付は思い出せないけど、わたし、気づいたら「音」に気づかなくなってきてたの。

お兄ちゃんが帰ってきたとき、いつもだったらいの一番に気づいて、ドアまで飛んで行ってたのに、気づいたらまったくわからなくて寝てたままだった。近くにきて、「リア、ただいま~」って声をかけてもらって、ビクンって飛び起きたんだ。

こんなふうに、「え? 今、帰ってきたの?」ってことが増えてきたの。それから、外の物音にも反応が鈍くなって……。夢の中で気づいて、慌てて「ワン!」って吠えちゃったこともあるんだよ。

でもその「ワン!」が、どうやらびっくりさせたみたいで、ママもパパも「リア、どうしたの?」って心配そうな顔。わたし、なんだか自分がわからなくなっちゃった。

「わたし、吠えちゃった……」

静かにしてたはずのわたしが、吠えてしまった。なんだか、世界と自分との距離感がずれてきてたのかもしれないって思うんだ。

吠えるのは伝えたいから。でも、怒られた

最初は戸惑ってたの。自分でも、「吠えた」ってことが不思議で。パパも「リア、どうした? 吠えるなんて珍しいな」って。

その声は怒ってるわけじゃなかったけど、でも、子犬のころから「吠えないのがえらい」って思ってきたから、吠えてしまった自分に、ちょっとショックを受けたの。

でもね、それでもやっぱり吠えたくなる瞬間があって。だってね、わたし、こわいんだよ。急に音がして、でもそれが何か分からない。

ふとした気配に「だれか来たの?」ってドキドキする。だから「ここにいるよ!」「気づいてよ!」って気持ちが、「ワン!」って声になっちゃうの。

それは、「うるさい!」って怒られるようなことじゃなくて、伝えたいっていう、わたしなりのメッセージなんだよ。

心がついていかない夜はシニア犬のさみしさと不安でいっぱい

夜って、なんだか心細くなるよね。

昔は平気だったのに、最近はふと目が覚めたときにママの姿が見えないと胸がキュッと縮こまる感じになるの。部屋は暗いし、音もないし、「どこに行ったの? ママ…」って思わず声が出ちゃうの。

「ワン、ワン……」

それはね、怒ってるんじゃなくて、不安でしかたないから。頭の中がぼんやりしてるから、気持ちの整理がつかないの。わたし、こわいの。ひとりになるのが。

パパが寝返りをうつ音が聞こえると、ほっとしてまた眠れるけど、誰の気配もない夜は、長くて冷たいの。

「シニア犬だから落ち着いてる」って思われることもあるけど、本当は、すごく繊細でこわれやすい気持ちをかかえてるんだよ。

わたしが選ぶ静かになれる場所

「吠える」ってね、気持ちがざわざわしてるときに出ちゃうの。だからね、わたしは静かになれる場所を自分で見つけてるんだ。

冬になると、パパの布団の上が一番のお気に入り。そのうえには、キティちゃんのぬいぐるみがあるんだよ。その子をお腹の下に敷いて眠ると、ふわっとあたたかくて、心もぽかぽかしてくるの。ママがそっと毛布をかけてくれると、それだけで安心して眠れる。

夏はね、扇風機の前のクールマット。あれが最高なの! お腹に風が当たると「ふぅ〜」って声が出るほど。静かな風と冷たいマット、それがわたしの安心スイッチなんだよ。

環境って、本当に大事。

キャバリアって、人と一緒に過ごすことが好きな犬種だけど、それと同じくらい、安心できる“場所”があることも大事なの。そういうところで眠ると、吠えなくても済むことがあるんだ。

そばにいてくれるって、ほんとにすごい力なんだ

最近ね、わたし、ちょっと変わってきたの。

吠える回数、前よりも減ったの。それはね、ママとパパが「気づいて」くれるようになったからだと思う。

声かけてくれたり、そっと撫でてくれたり、それだけで「ここにいていいんだ」って思えるようになったの。

姿が見えなくても、声が聞こえるだけでほっとする。テレビの音、誰かの笑い声、コーヒーをいれる音──。そういう暮らしの音が、わたしの心の薬みたいなの。

キャバリアのわたしたちは、性格的にさみしがりで甘えん坊だけど、それは愛が深いってことだと思ってる。だからね、そばにいてくれるだけで安心できるんだよ。

吠えなくても伝わる。吠えたって愛される

昔、子犬の時は、吠えないことがわたしのいいところだった。それを褒めてもらえるのが、嬉しかった。

でも今は、「吠えてしまう」自分も受け止めてもらえてる。それが、ほんとうにしあわせなことだと思ってるの。

吠えるって、ただうるさいだけの行動じゃないんだよ。「ここにいるよ」っていう、命の証みたいなもの。

パパ、ママ──。わたし、きっとこれからもときどき「ワン!」って言っちゃう。でもそれは、「忘れないでね」「大好きだよ」ってことなんだ。

吠えてもいい。吠えなくても、ちゃんと見ててくれる。だから、わたしは今日も安心して、そばで眠るよ。

「リア、今日もおつかれさま」って声が聞こえたら、その日一日が、まるごと愛で包まれてたってことだもんね。

リアより。

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