おはよ、リアだよ。
今日はなんだかパパの声がいつもよりふんわり優しくて、目を開けた瞬間から「特別な日なんだなぁ」って、わたし、気づいちゃったの。そう、わたし15歳になったんだって!
ベッドからのそのそ起き上がると、リビングの空気がなんとなくそわそわしてるし、ママもお兄ちゃんもお姉ちゃんも、いつもより早起きしてて、にこにこしてる。
「リア、15歳おめでとう」って、みんなで言ってくれて、わたしの心の中もふわっとあったかくなった。
でもね、15歳ってどういうことなんだろう?わたしが家族になった日、まだちっちゃくて、ぴょんぴょん跳ねてたあの頃から、そんなに時間が経ったなんて、なんだか夢みたい。
パパの膝の上がいちばん安心する場所だったのは、あの頃も今も変わらないけど、最近は、自分でも「よいしょっ」って気合い入れないと飛び乗れなくなっちゃった。でも、パパがすぐに抱っこしてくれるから大丈夫なんだ〜
朝ごはんの匂いがしてくると、いつものようにのそのそキッチンへ。
最近は食べるスピードもゆっくりになったけど、ごはんはやっぱり楽しみ!「今日は特別だから、あとでケーキだよ」ってママが言ってて、もうワクワクが止まらない。
それにしても、15歳かぁ。
お友達の中には、14歳を迎えられなかった子もいてね。わたし、ほんとはすごくすごく幸せなんだって、改めて思ったの。
病気もあるし、若い頃みたいにいっぱい走ったりできないけど、毎日、家族がそばにいてくれて、やさしく名前を呼んでくれて、あったかいお布団で眠れて…。それだけで、十分キラキラしてるんだよ。
昔は「お誕生日ってなにか美味しいものがもらえる日」って思ってたけど(笑)、
今は「生きていてよかったって思う日」って感じるようになったの。
だって、わたしが15歳を迎えたことって、家族みんなのがんばりと愛のおかげだから。
朝の光の中で、パパがわたしを抱っこして「15歳、すごいな」って言ってくれたとき、なんだか泣きそうになっちゃったのは、内緒ね♡
さぁ、今日も一日がはじまるよ。
病気のこと?うん、それはこのあと話すね。でも今は、15歳になったわたしがここにいるってこと、それがとっても嬉しいの。
ほんとはね、わたし、心臓に病気があるの

わたしね、見た目はけっこう元気そうに見えるかもしれないけど、実は心臓にちょっとしたトラブルを抱えてるんだ。
病名は「僧帽弁閉鎖不全症」。キャバリアには多い病気なんだって、パパが教えてくれた。
最初にそれがわかったのは、たしか去年の春の頃だったかな。お散歩の途中で急に立ち止まったり、ちょっと歩いただけで「はぁはぁ」って息があがっちゃってね。
そのときはまだ、「シニアだから疲れやすくなったのかも」なんて思われてたけど、定期検診でお医者さんが「心雑音がありますね」って言って、精密検査を受けることになったの。
その日、パパと一緒に病院でレントゲンとか心エコーとか、たくさん検査を受けたんだけど、帰り道、パパがわたしを抱きしめる腕が、ちょっとだけ震えてたのを覚えてる。
わたし、そのときはまだ病気の意味なんてわかってなかったけど、パパの顔を見て「ただごとじゃない」って思ったんだ。
「お薬を飲みながら、うまく付き合っていくしかないですね」ってお医者さんが言ったとき、パパとママはすぐに「がんばろうね」って言ってくれた。そのときから、わたしの生活はちょっぴり変わったの。
朝と夜、決まった時間にお薬を飲むようになったし、激しい運動は控えるようにって言われて、大好きだったドッグランも行けなくなった。
でもね、悲しいとか悔しいとか、そういう気持ちはなかったよ。だって、パパがずっとそばにいてくれたし、「リアが長く元気でいられるように」って、お薬の量とかごはんの栄養とか、すっごく考えてくれてたから。
お友達ワンコの中には、手術を受けた子もいるみたいだけど、わたしはお医者さんとパパとママで相談して、投薬治療を続けることになったの。
毎月の診察で心臓の様子をチェックして、薬の種類を変えたり、量を調整したり。
ときどき、ちょっと体がしんどい日もあるけど、そんな日はパパがずっとそばにいてくれるから、安心して休めるんだ。
病気って聞くと、どうしても「かわいそう」とか「大変」って思われちゃうけど、
わたしは今でもちゃんと幸せだよ。むしろ、病気になってからのほうが、家族のやさしさをもっと感じられるようになった気がするんだ。
パパが言ってたの。「リアが病気になってくれてよかった、なんて言えないけど、病気を通してもっと大切にしようと思えた」って。その言葉、わたし、とっても嬉しかったんだ。
病気はね、こわくないわけじゃないよ。
でも、それ以上に「大丈夫だよ」って言ってくれる人がそばにいると、前を向けるんだなって思うの。
だから、いま同じ病気で不安な思いをしてるお友達や、その家族の人たちに伝えたいの。「ひとりじゃないよ」って。
次は、わたしがどんなふうに毎日を過ごしてるかをお話しするね。病気があっても、ちゃんとキラキラしてるんだよ。
それでも、毎日はキラキラしてるよ

わたしの一日は、けっこうのんびりしてるの。
朝はパパがそっと起こしてくれるところから始まって、あったかいお湯で濡らしたタオルで顔をふいてもらってから、ごはんの時間。
病気がわかってから、わたしの食事はちょっと特別になったよ。低ナトリウムで心臓に負担をかけないように、パパとママが何度も相談して選んでくれたフード。
最初は「え、味うすっ」って思ったけど、今ではすっかり慣れちゃって、お薬を包んだジャーキーのごほうびも、毎朝の楽しみのひとつ。
お薬って、お友達によっては苦手な子も多いと思うんだけど、わたしはそんなにイヤじゃないの。
むしろ「お薬=パパとママの愛情」って、わたしの中ではそういうイメージなんだ。
病気が進行しないように、これを飲めば安心なんだって思えるようになったのは、
何よりパパが毎日笑顔で「リア、今日もがんばろうね」って声をかけてくれるからだと思う。
ごはんのあとは、ちょっとだけお昼寝。
昔みたいに何時間も走り回ったりする元気はないけど、静かな午前中の光の中でウトウトする時間が、今のわたしにはすごく大切なひととき。ときどき寝言を言っちゃって、パパがくすくす笑ってることもあるんだよ。
お昼が近くなると、パパと一緒にベランダに出るの。
前みたいに長いお散歩はできないからこれくらいがちょうどいい。鉢植えの植木の間をゆっくり歩いて、風の匂いをかいで、空を見上げて鳥の声を聞いたり、遠くに子どもたちの声が聞こえてきたり。
それだけで、なんだか心がふわっと軽くなるの。病気で心臓は少し弱ってきてるけど、心の中はぜんぜん弱くなってないよ。
お散歩が短くなったことに、最初はちょっと戸惑ったこともあったんだ。昔は「今日はあの公園まで行けるかな?」って冒険みたいだったけど、今は「今日はどこまで歩けるかな?」って、わたしのペースに合わせてパパが歩いてくれる。
「無理しないでいいよ」って、何度も言ってくれるから、わたしも安心して途中で止まって、風の匂いをゆっくり楽しめるようになった。
午後はね、だいたい寝てることが多いかな。
でもね、お昼寝の途中でパパがこっそり隣に来て、わたしの背中をなでながら仕事してたりするの。
パパの指先がわたしの背中を通りすぎると、すーっと力が抜けて、どんなに調子の悪い日でも眠れるんだ。
それってすごいことだと思わない?大好きな人がそばにいるって、それだけで、身体の調子が変わる気がするんだよね。
夕方になると、またお薬の時間。
それから少しだけおもちゃで遊んだり、お姉ちゃんが帰ってきたらお腹を見せて甘えたりしてる。
若い頃みたいにテンション爆上がりで走り回ったりはしないけど、わたしの中ではちゃんと、「楽しい!」って思ってるし、家族がわたしの変化を受け入れて、無理に若い頃みたいな遊びを求めないでくれてるのが、ほんとうにありがたいなって思う。
夜は、パパと一緒にソファでまったり。
テレビの音が心地よくて、気づいたらうとうとしてることも多いの。パパはわたしを包み込むように抱っこして、そっと毛布をかけてくれるんだよ。
そのあたたかさに包まれながら、「今日も一日、無事に過ごせたなぁ」ってしみじみ感じるんだ。
たしかに、わたしの体は昔よりずっとゆっくりになったし、しんどい日だってある。心臓がばくばくして、ごはんがあまり食べられない日もあるし、トイレまで間に合わないこともあって、ちょっとだけ恥ずかしい気持ちになることもある。
でもね、それでもわたしの毎日は、ちゃんとキラキラしてるの。
家族の優しさに包まれて、わたしのペースで過ごせて、毎日「今日も生きててよかった」って思えるのは、すごくすごく幸せなこと。
きっとね、幸せって、走れることでも、遠くまで行けることでもなくて、「わたしがわたしでいられる場所があること」なんだと思う。
だから、病気があっても、年をとっても、キラキラはちゃんとある。それを教えてくれたのは、間違いなく、パパと家族のみんななんだ。
さて、次はわたしが15歳になるまでに、大切にしてきたことをお話しするね。きっと、あなたのお友達にも役立つヒントがあるかもしれないよ。
わたしが15歳になるまでに、大切にしてきたこと

リア
15歳になるって、正直、自分ではあまり実感がないの。
だって毎日を一生懸命生きてたら、いつの間にかこうなってた、っていう感じだから。でもね、振り返ってみると、わたしがこうして15歳まで元気に過ごしてこられたのは、いくつかの「大切にしてきたこと」があったからだと思うんだ。
まず最初に思い浮かぶのは、生活のリズムを整えること。
病気がわかってからは特に、毎日のスケジュールがすごく大事になったの。ごはんの時間、お薬の時間、お昼寝の時間、お散歩の時間とかね。どれもバラバラじゃなくて、できるだけ同じ流れで過ごすようにしてたんだよ。
たとえばお薬。
心臓の働きをサポートするために、朝晩欠かさず飲んでるの。種類はけっこうあって、最初は数えるのが大変だったけど、パパが全部スケジュール管理してくれてて、ジャーキーやボーロに包んでくれるから、わたしもちゃんと続けられた。
それから、食事の工夫もすごく大きかったと思う。
キャバリアって食いしん坊な子が多いでしょ?わたしも例にもれず、食べるのが大好きだったけど、心臓にやさしい食生活に切り替える必要があったの。
パパとママは何種類ものフードを調べて、時には獣医さんにも相談して、塩分控えめで栄養バランスのとれたごはんを見つけてくれたんだ。
最初は「え〜前のほうが美味しかったのに」って思ったこともあったけど、そのうち身体が軽く感じるようになって、「あ、これってわたしのためなんだ」って納得できるようになったの。
運動との付き合い方も変わったよ。
若い頃は「ボール投げて!」って何回もおねだりしてたけど、心臓のことを考えると、激しい遊びは避けるようにって言われて、最初はちょっと寂しかったな。
でもパパが「無理に走らなくてもいいよ」って言ってくれて、かわりにゆっくりお庭を歩いたり、木陰でおしゃべりしたり、静かな時間の楽しさをたくさん教えてくれたの。
それからね、寝る環境もすごく工夫してもらったの。
寒い季節には床が冷えないようにクッションを重ねてくれて、夏はエアコンの風が直接当たらないようにベッドの位置を調整してくれた。
わたし、心臓の病気があるから、寒暖差には特に気をつけなきゃいけないんだよね。
パパは毎朝天気予報をチェックして、「今日はちょっと寒いから気をつけようね」って声をかけてくれる。そんな日々の積み重ねが、きっと今のわたしの元気につながってるんだと思う。
そしてね、何より大事だったのは、心のゆとりだと思うの。
わたし、昔からちょっと頑固で、「これじゃなきゃイヤ!」って思うことも多かったけど、年をとるにつれて、少しずつ柔らかくなってきたみたい。というか、まわりが上手に合わせてくれてるって感じかな。
たとえば服を着るの、昔は苦手だったの。
「こんなの着せないでよ〜」って怒ったこともあるけど、今では寒さ対策になるってことがわかって、すんなり受け入れられるようになったし、逆に「これ着たらおでかけ?」ってワクワクすることもあるくらい。
それに、病院も最初は大嫌いだったのに、今では平気。
先生がやさしいってわかったし、なにより、終わったあとにパパが「えらかったね」って頭をなでてくれるのが嬉しくて。
病気と向き合うことも、工夫しながら過ごすことも、全部「だれかに守られてる」って感じられることが、わたしにとっては安心で、だからこそ「がんばろう」って思えたんだ。
15歳まで生きてきたって聞くと、もしかしたら「特別なことしてるんだろうな」って思う人もいるかもしれないけど、実はそうじゃないんだよ。
特別なことなんて、ひとつもしてないの。ただ、毎日のちょっとした気遣いと変化を受け入れる心が、わたしをここまで運んでくれたんだと思う。
そして、わたしが変わっていくことを、急がせないで見守ってくれた家族のおかげ。それが何より大きかったなって思うの。
だからね、今もしあなたのワンちゃんが病気と向き合っていたり、年齢を重ねて少しずつできることが減ってきていたとしても、焦らないで、比べないで、その子の今を大切にしてあげてね。
変わることを怖がらずに、「今のわたしもいいよね」って言ってもらえたら、
きっとその子も、毎日を大事に生きてくれると思うの。
次は、そんなわたしが、15歳になった今、あなたにどうしても伝えたいことを話すね。
15歳になった今、キャバリアのわたしがあなたに伝えたいこと

15歳になった今、こうしてわたしのことを読んでくれてるあなたに、伝えたいことがあるの。
それは、わたしの毎日がどれほど「愛」に支えられているかってこと。そして、それがどれだけ大きな力になっているかってこと。
心臓に病気を抱えてから、わたしは「もう前みたいには戻れない」って、何度も思ったよ。
走るのが好きだったわたしが、ほんの数メートル歩くだけで息が上がってしまったり、階段の途中で足が止まってしまったり、お散歩に出かけたのに途中で「抱っこして」って言ってしまったり。
そんな自分に、がっかりした日もあった。
でもね、そのたびにパパが言ってくれたの。「リアはリアだよ。前と同じじゃなくていいんだよ」って。
わたしが病気を抱えたことに対して、誰も責めなかったし、できないことが増えたからって、誰も悲しそうな顔をしなかった。むしろ、「じゃあ、どうやって楽しく過ごそうか」って、毎日工夫してくれた。
そのおかげで、わたしの心はどんどん軽くなっていったの。
自分のスピードで、自分の体調と相談しながら過ごせるって、本当にありがたいことなんだなって思うようになった。
わたしね、時々思うの。
「シニア犬と暮らすって、むずかしいことだよね」って。昔のようには遊べないし、食事やお薬にも気を使わなきゃいけないし、夜中にトイレに行きたくなって起こしちゃうことだってあるし。
でも、それでも一緒にいてくれる。
わたしの呼吸の変化に気づいてくれて、寝ている間も、そっとお腹の動きを見ていてくれて、「今日も元気そうでよかった」ってホッとしてくれる。
そんな日々が、どれほどわたしを安心させてくれてるか、きっと伝えきれないと思う。
だからね、わたしはあなたに伝えたいの。「ありがとう」って。そして、「あなたのそのやさしさが、私たちの生きる力になってるんだよ」って。
もしかしたら今、あなたのそばにいるお友達も、年をとって、できないことが増えて、不安にさせることがあるかもしれない。体調が不安定で、どこか遠くに行ってしまいそうな日も、あるかもしれない。
でもね、それでもその子は、あなたのことが大好き。どんなにしんどくても、あなたの声が聞こえるだけで落ち着くし、あなたの手が触れてくれるだけで、呼吸が整うの。それって、本当にすごいことなんだよ。
わたしも15歳になって、もうすぐ1年先のことなんて考えられないかもしれないけど、それでも明日も一緒にいたいなって思ってる。そして今日が楽しかったって思いながら眠れる毎日を、これからも過ごしたい。
生きるって、未来の約束じゃなくて、今日の積み重ねだって、最近すごく思うの。
だから、どうか焦らないで、比べないで、その子の今をたっぷり味わってあげてね。
心臓に病気があっても、年を重ねて体がゆっくりになっても、ちゃんと幸せになれるんだ。その証拠に、わたしはこうして15歳になれたんだから。そして、今日も大好きな家族と、変わらない日常を過ごせてる。
もしも、あなたが少しでも不安になったときは、わたしのことを思い出してくれたらうれしいな。
キャバリアで、ちょっと頑固で、甘えん坊で、心臓に病気を抱えてても、ちゃんとキラキラしてる、わたしのことを。
生きていてくれてありがとう。
一緒にいてくれてありがとう。
今日も変わらずそばにいてくれて、ありがとう。
リアより


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