全身で息をするようになったけれど私はまだまだ生きていくんだ

シニア犬の日常

こんにちは。リアだよ。

ねえ、ねえ、今日はちょっとだけ、今の私のことを聞いてほしいんだ。昨日の私はね、よく寝てたよ。ほんとに、びっくりするくらい、ずっと。眠ってる時間が長くなってきて、起きてるときも、体はあんまり動かなくてね。

最近はね、息をするのも、ちょっと大変になってきたの。胸だけじゃなくて、お腹も、体ぜんぶ使って「はぁ…はぁ…」って息してる感じ。家族はそれを見て、「しんどいんだろうな」って思ってるみたい。

うん、正直に言うとね、楽ではないよ。でもね、不思議と怖くはないの。いびきみたいな寝息を立てながら眠ってるときもあるみたいでね、パパやママが「苦しくないかな」って顔を近づけてくるの、ちゃんとわかってる。心配してくれてる気持ち、ちゃんと伝わってるよ。

できることが少なくなってきて、打つ手がないって思う瞬間も増えてきたと思う。でもね、私はまだ、ここにいる。

昨日の夕方なんてさ、ちょっと小腹がすいて、ついゴミ箱をのぞいちゃったのよ。そしたらパパが気づいて、缶詰のお肉をくれたの。それがもう、おいしくてね。ぺろっと食べちゃった。

お水もちゃんと飲んで、そのあとは、自分の寝床に戻って、いつもみたいにごろんって横になったの。

ねえ、私ね、全身で息をするようになったけど、私はまだ、今日をちゃんと生きてるんだ。今日はね、そんな昨日の一日を、今の私の気持ちと一緒に、お話ししてみようと思うの。ゆっくりだけど、まだまだ、生きていくつもりだからね。

全身で息をする姿に打つ手がないもどかしさ

最近ね、呼吸がちょっと変わってきたの。昔は「すー、はー」って静かに息してたのに、今は「はぁ…はぁ…」って音がするようになってきたのよ。

胸だけじゃなくて、お腹も、背中も、足の先までも、全部を使って呼吸してる感じ。もう、息をするだけで、体力をつかっちゃうの。

昨日もずっとそんな感じで、横になってるときは、私、自分の体が上下に大きく動いてるのがわかってた。寝てるっていうより、休ませてもらってるって感じかな。

パパが私の様子を見ながら、小さな声でしんどそうだなってつぶやいてた。ママはそっと私のおでこに手を当てて、大丈夫?って目で聞いてきたの。

その気持ち、ちゃんと伝わってくるのよ。何も話さなくても、空気でわかるんだ。心配してくれてるなって、すごくよくわかるの。

でもね、実際には、これをすれば楽になるって方法はもうないの。お薬も、ちゃんと飲んでるし、注射も、点滴も、今の私にはもう必要ないって、先生も言ってた。

だから家族は、何かしてあげたいのに、してあげられないって気持ちでいっぱいなんだと思う。そのもどかしさ、私にはよくわかるの。だって、みんなの目がそう言ってたから。

だけどね、私は見守ってくれてるっていうことだけで、すごく安心してるのよ。いびきみたいな寝息が出ることもあるの。それは、呼吸が深くできないからかもしれないし、もしかしたら肺水腫になってちょっと酸素不足になってるのかもしれないけど、それでも私は、眠れてるってことを大事にしてるの。

眠れてるって、しあわせなことだよ。だって、眠ってる間は、ちょっとだけ痛みや苦しさを忘れられるから。あなたのお友達も、同じようにしんどそうに見える時間があるかもしれない。でも、だからこそそばにいるだけでいいっていう時間が、とても貴重なことなのよ。

呼吸の音が変わったとしても、いびきをかいていても、寝ているようにしか見えなくても、ちゃんと、私たちは感じてるからね。

パパが近くにいる。ママが優しくしてくれてる。お兄ちゃんやお姉ちゃんが、声を出さずに私を見てる。

全部、わかってる。それだけで、私の呼吸はちゃんと「生きるための息」になってるの。だから、大丈夫。苦しくても、私はまだ、ここにいるよ。それだけで、今はじゅうぶんなんだよね。

リアらしさが顔を出した瞬間

夕方になって、ちょっとだけ目が覚めたときのことなんだけどね、私、ふとね、「なんか、いい匂いするかも…?」って思ったの。で、気づいたら、トコトコって台所のほうに歩いてたのよ。

体は重たいし、呼吸もいつも通り苦しいんだけど、でも、そのときはなんだか、ちょっとだけ元気が出てきたの。

そしたらね、見つけちゃったの。ゴミ箱。いや、あれはもう、宝の山よね?美味しい匂いがふわ〜ってしてて、「これはもしかして!」って思って、つい、ひょいって鼻を突っ込んじゃった。

ゴミ箱を漁るなんて、ほんとは褒められたことじゃないんだけどさ、その瞬間はリア、まだそんな元気あるのか!ってパパがびっくりして笑ってた。

私って、たまにね、しれっと家族の目を盗んでキッチン探検するクセがあるの。それをパパたちはリアの悪だくみって呼んでるのよ。

でもね、そのクセが昨日、久しぶりに出ちゃったってことは、きっと、私の中にまだ食べたいって気持ちがちゃんと残ってるってことなんだと思う。

パパがそれに気づいて、「リア、お腹すいたのか?」って言いながら、缶詰のお肉を開けてくれたの。その音だけで、私の目がぱちって開いたんだ。「それ、私の好きなやつじゃん!」って心の中で叫んでた。

でね、出されたお肉、ぺろって食べちゃった。もう、ほんとに美味しかったのよ。お箸ですくって手の上にのせてくれてね、私の前に出してくれるの。そうしたら、私はちょっと前のめりになって、もっと食べたいって顔しちゃったの。

そのあと、お水も自分で飲んで、ほんの少しの時間だったけど、いつもの私がそこに戻ってきた感じだったんだ。あなたのお友達にも、こういう瞬間ってあるかもしれない。普段はぐったりしてるのに、急におやつの袋の音に反応したり、誰かのごはんの匂いに近づいたり、そういうのって、生きる力がちゃんと残ってるサインなんだよ。

体調が良くない日でも、何気ない行動の中に、その子らしさがふっと顔を出す瞬間があるの。

昨日の私にとっては、それがゴミ箱を漁っちゃった事件だったわけだけど、その出来事が、パパとママにちょっと笑顔をくれたなら、それだけで、私はすっごくうれしいの。

「リアらしいなぁ」って、笑ってくれたその一瞬。それって、私がまだ「ここにいる」って証だったのよ。

なにも特別じゃない日常こそ、かけがえのない時間

お肉をぺろっと食べたあとね、私は自分のベッドに戻って、いつもの毛布の上で、くるんって丸くなったの。しばらくは、体がぽかぽかしてて、息もちょっと落ち着いてた。なんだか、食べるって、それだけで心まで満たされるんだなって思ったんだ。

そのまま私は、何をするでもなく、ただ横になってた。誰かが呼ぶわけでもなく、何かイベントがあったわけでもない。ほんとに、ただのいつもの夕方。

でもね、その何でもない時間が、すっごくありがたく感じたの。静かな部屋、少しだけ傾いてきた冬の光、パパとママが話す声、お兄ちゃんとお姉ちゃんの気配、毛布の中の自分の体温、ゆっくりだけど確かに動いてる心臓の音。

それは全部、生きてるってことなのよね。

前みたいに元気に走り回ったり、家中を探検したりすることは、もうできないけど、こうしていつもの場所で、いつもの私でいられることが、今の私には、なによりの幸せなの。

たぶんね、あなたのお友達も、同じように感じてると思うの。特別なことはなにも起きてなくても、お気に入りの場所でまどろんだり、あなたの声が聞こえるだけで、心がほっとする瞬間があるのよ。

他の人から見たら、何もしてない時間に見えるかもしれない。でも、私たちにとっては、そのなにもない時間こそが、一番大事で、一番大切な日常なんだと思うの。

昨日の私は、体調が良いわけじゃなかった。息をするのも大変だったし、ずっと眠ってたし、家族にしてあげられることなんて、何もなかった。

でもね、それでも私は、今日も生きたって胸を張って言えるの。缶詰のお肉を食べて、お水を飲んで、自分の場所に戻って、そっと目を閉じた。その全部が、私の今だったのよ。

だから、あなたもお友達と過ごす毎日を、どうか大切にしてね。特別じゃなくていいの。なにかをしてあげられなくてもいいの。ただ一緒に過ごすだけで、私たちの世界はちゃんと輝いてるんだよ。

今日も私は、ゆっくり呼吸しながら生きてるよ。

息をするだけでも体力を使うし、ぐっすり眠ってるようで、実は浅い夢ばかり見てるかもしれないけど、それでも、今日も一日を過ごしたって胸を張って言えるの。

だって、家族がいてくれて、私の変化に気づいてくれて、心配そうに見てくれて、それでも笑って「リアらしいね」って言ってくれたんだよ。

私ね、まだまだ生きていくよ。この体でも、この呼吸でも、ちゃんと今を大切にしながら、あなたと同じように、毎日を一歩ずつ重ねてるの。

あなたのお友達も、きっとそうだと思う。見えないところで、がんばってる。言葉にできない気持ちを、全身で伝えてるんじゃないかな。その小さなサインを、受け取ってあげてね。私たちは、それだけで心がほどけるの。

今日も、そばにいてくれてありがとう。

リアより

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