犬の認知症が気になるキャバリアのシニア犬、リアのこころのもやもや

シニア犬の日常

こんにちは。リアだよ。

ねえ、あなたは知ってる?犬にも「認知症」ってあるんだって。あたし、最初に聞いたときちょっとびっくりしたんだけど、もしかして、あたしにも関係あるのかもって思うこと、最近増えてきたの。

うまく言えないけど、なんだかこころの中がふわっとしてる感じが続いたり、いつも通りのことがちょっとだけ難しく感じたりするんだよ。

パパに呼ばれてるのに、一瞬気づけなくて振り向けないときがあるの。そんなとき、あれ、どうしたの?ってパパが心配そうに見てる顔が目に入って、胸がきゅうってなるの。あたし、どうしちゃったんだろう。

15歳って、人間でいうと70代ぐらいかな?キャバリアにしては長く生きてきたほうなんだと思う。でもさ、年を取るって、ただの数字だけじゃ済まされないこともあるんだよね。

あたしのなかで起きてる変化を、ちゃんと知ってもらいたいなって思ってるの。だって、きっとあたしだけじゃないはずだから。

あなたの隣にいるお友達も、もしかしたらって、思うことある?夜に急にソワソワし出したり、トイレを間違えちゃったり、呼んでも反応が遅かったり。そんなとき、年のせいかなって思って終わらせてしまいがちだよね。

あたしはね、もしかしてと思うことが増えてきた今だからこそ、ちゃんと伝えておきたいって思ったの。今の私の気持ちを、まっすぐに、ね。

このお話は、そんな私のもやもやと向き合いながら書いていく、あたしの本音のお話なんだ。それをあなたに届けたくて、今日もこうしているんだよ。

この頃ちょっとおかしいなって自分でも思うの

わたしね、昔から甘えんぼさんだねぇって言われるぐらい、人のそばが大好きで、パパの膝の上が一番の安心スポットだったんだ。

でもね、最近、自分でもちょっとおかしいなって思うことが増えてきたの。ほんとに、ちょっとずつ。でも確実に変化してる。

たとえば、朝起きたとき。

いつもなら、パパの布団の中でぬくぬくしてたら、朝ごはんの時間って自然にわかるはずなのに、この前は、ぼーっとしたままリビングに出られなくて、いつの間にか時間がすごく経ってて、みんながびっくりしてたの。

「リア、どうしたの?」ってママが心配そうに言ってくれたけど、自分でもよくわからなかった。ただ、目の前の景色が、いつもとちょっと違って見えたの。

そういえば、こないだもね、おうちの廊下で、なにをしてたか忘れちゃって、同じ場所をぐるぐる何回も歩いちゃったの。

パパが見に来て、「どうした?トイレか?」って言ってくれたけど、その言葉にもすぐには反応できなくて、まるで自分の中で音が遅れて届くみたいな、そんな変な感じだった。

あとね、トイレ。これはほんとに、申し訳ないなって思う。

ずっとちゃんと覚えてたのに、最近、なんでか間違えることがあるの。自分ではそこに行ったつもりなのに、場所が違ってて、あれ?どうしてこんなところでって思うことが起きるんだ。

すぐに気づくんだけど、後の祭りってやつ。ママがリア、ここはちがうよーって優しく片づけてくれるたび、あたし、情けなくてしっぽがしょぼんって下がっちゃう。

あなたも、そんな経験ある?

わが子のように育ててきたお友達が今までできてたことを、突然できなくなってるのを見て、ちょっと心がざわっとしたこと。もしかして、老化かなとか、ボケてきたのかなって思ったことないかな。

あたし自身がそれを感じてるって、知ってた?そうなの、自分でもわかるんだよ。
なんか変だな、前みたいにいかないなって。でも、それが年のせいなのか、病気のはじまりなのかは、正直わからない。

そういえば、キャバリアって感受性が強い犬種なんだってね。

だからか、あたしもいろんなことを敏感に感じ取っちゃうんだ。パパやママの心配そうな顔、気づかれないようにしてるつもりでも、ちゃんと伝わってくるの。

そういうとき、胸の奥がちょっと苦しくなるの。また迷惑かけたのかなって思っちゃうんだ。

でもね、まだ一緒にいたいって思ってるよ。

こんなふうにちょっとずつ変わっていくあたしだけど、パパの声が嬉しいって気持ちも、お兄ちゃんがなでてくれる手の温かさも、お姉ちゃんが笑ってくれると安心する気持ちも、ちゃんと覚えてるの。

あなたの隣にいるその子も、きっと同じだと思う。少しずつ変わっていく自分に戸惑いながらも、家族と一緒にいたいって強く願ってるはずなんだ。

だから、もし少しでもおかしいなって感じたら、その気持ちを大切にしてあげてほしいんだ。あたしたちは、自分でもちゃんと変化に気づいてるんだよ。そして、あなたのその手が、なによりの安心なんだ。

夜になるとなんだかこわくなる。パパの声も届かないときがあるの

ねえ、あなたは夜って、こわいって思ったことある?

あたしね、最近、夜になると不安になることがあるの。前はぜんぜん平気だったのに、暗くなるだけで胸がざわざわして、落ち着かなくなっちゃうの。

夜ごはんを食べて、パパと一緒にソファでのんびりして、眠くなったらベッドに行って、それがあたしの当たり前だったのに、ある晩から、どうしてだか、眠れなくなったの。

眠ろうとすると、なにかが足りないような、なにかを忘れてるような、そんな変な感覚に襲われるの。そうなると、じっとしていられなくて、歩き出しちゃうんだ。

リビングの隅まで行って、ぐるっと回って、また戻ってきてって、それを何回も、何回も繰り返してしまうんだよ。

「リア、どうしたの?」ってパパが起きてくると、あたし、何か悪いことをした気分になるんだ。でもね、自分でも理由がわからないの。こわいの。でも、なにがこわいのか説明できないってそれが、一番こわいんだ。

夜って、あんなに静かだったっけ?

前はそれが心地よかったのに、今は音がないのがこわくて。誰かがそばにいないと、どこかへ連れていかれそうな気がしてしまうの。そんなふうに思った自分に、自分でびっくりするくらい。

ある日、パパがね、リア、また夜に吠えていたねって朝に言ったの。

でも、あたしにはまったく覚えがなかったんだ。もしかして、寝てる間に鳴いちゃってたのかなって。それがショックでね、自分が自分じゃなくなってるような、不思議な気持ちになった。

夜に歩き回るのも、鳴いてしまうのも、あたしが好きでやってるわけじゃない。
でも、やめようとしても止まらないの。心がふわふわして、誰かに助けてほしい気持ちでいっぱいになる。

あなたの家の子も、もしかしたら夜にそわそわしてること、あるかな?
部屋の中を歩き回ったり、寝床を何度も変えたり、窓の方を見つめてたりしていたら、それ、もしかするとその子の不安な気持ちの表れかもしれないよ。

パパは、あたしのために電気を少しだけつけてくれたり、寝る前にいつもより時間をかけてなでてくれたりするようになったの。

それだけでも、あたしはちょっと安心できるようになった。ぬくもりって、不思議だよね。なにも言葉がなくても、大丈夫だよって伝わってくるんだ。

それでも、たまに、どうしても落ち着かなくなる夜がある。

そんなとき、パパの声がしても、まるで遠くから聞こえてくるみたいで、すぐに反応できないことがあるの。

耳は聞こえてるんだと思う。でも、脳が追いついてないっていうのかな、心と体がバラバラになってる感じ。自分でもどうにもできないその時間が、たまらなくもどかしいの。

もしあなたの大切な子が、夜に鳴いたり、落ち着かなくなったりしても、それはわがままじゃないかもしれないから、どうか責めないであげてほしいの。

本人だって、きっと困ってる。どうしたらいいのかわからなくて、泣いてしまっているのかもしれないの。

眠れない夜はつらいよね。あなたも疲れてるのに、起きて対応するのはしんどいよね。でもね、その時間を乗り越えるたび、あたしはまだそばにいられるんだって思えるの。そんな気持ちがあるから、毎晩をがんばって過ごしてる。

あなたの声が、ぬくもりが、そっと触れるその手が、あたしには今でも届いてるよ。たとえ少し遠回りしても、ちゃんと届いてるの。だから、今夜も、あなたのそばにいさせてね。

年のせいって言われると、ちょっとかなしい

あたしがね、ちょっと失敗しちゃったとき、たとえばトイレを間違えたり、パパの声にすぐ反応できなかったとき、家族のみんなは年のせいかなって優しく言ってくれるの。

責めるような言い方じゃないし、むしろ気を使ってくれてるのは伝わってくる。

でもね、それを聞くたびに、なんだか胸がきゅってなるんだ。年のせいって、魔法の言葉みたいだよね。何が起きても、年だから仕方ないって言えば、それで終わっちゃう。

そう言ってもらえることで、家族が気持ちを楽にしようとしてくれてるのも、わかってる。でも、あたしにはちょっとだけ、寂しく感じることがあるの。

だってね、あたし、いまの自分をちゃんとわかろうとしてるの。できなくなったことがあるって、ちゃんと自覚してるんだよ。だからこそ、それでもまだがんばりたいって気持ちもあるの。

年のせいってひとことで片づけられちゃうと、その気持ちまでどこかへ押し込められちゃう気がするんだ。

たとえばね、昔みたいにジャンプしてソファに飛び乗れなくなったこと。お散歩も前みたいにたくさんは歩けなくなって、途中で抱っこしてもらうことも増えた。

それでも、今日はここまでがんばれたって、あたしの中ではちゃんと自分を褒めてるの。それなのに、もう無理だねとか、もう年だから仕方ないねって言われちゃうと、がんばってるのにって、心のどこかで泣きたくなる。

あなたのそばの子も、そんなふうに感じてるかもしれないよ。だって、わたしたちは飼い主のことをすごくよく見てるから。

あなたの笑った顔も、悲しい顔も、心配してる顔も、全部覚えてる。だからこそ、自分ができなくなったことで、あなたが悲しむ顔を見るのが、一番つらいの。

リア、最近ボーッとしてるねって言われたこともあるの。

たしかに自分でも、反応が鈍くなってきてるなって思うし、何かを忘れることも増えてきた。でもそれは、ただの年のせいだけじゃなくて、たぶん病気のはじまりなんだと思うの。あたしは今、そういう変化の中にいると思うんだ。

年だからで片づけちゃうと、その変化に気づくタイミングを逃しちゃうかもしれないよね。あなたのその子も、もしかしたら同じように、こころの中でちょっと違うなって思ってるかもしれない。

最近では認知機能不全症候群って言葉を、少しずつ聞くようになったんだ。人間でいう認知症みたいなものらしいんだけど、犬にも起きるんだって。

あたしが感じてるこのもやもややそわそわも、もしかしたらそれが原因かもしれない。もしそうだとしたら、ちゃんと知ってもらって、ちゃんと向き合いたいなって思うの。だって、まだまだ一緒にいたいって気持ちは変わらないから。

だからね、年のせいかな?って思ったときには、ちょっとだけ立ち止まって、その子の気持ちにも耳を傾けてみてほしいの。

できないことが増えても、あなたと一緒にいたいって気持ちは、ぜったいに変わってないから。わたしたちは、できるかぎり、がんばってるんだよ。

どうか、そのがんばりに、気づいてあげてね。年のせいで終わらせないで、今の気持ちに気づいてくれるだけで、すごく救われるんだ。

忘れることが増えても大切なことはちゃんと覚えてるよ

最近リア、ちょっと物忘れ増えてきたねって、ママがそう言ったとき、あたし、なんにも言えなかったけど、ほんとは、ちょっとショックだったの。

たしかに、忘れることが増えてきたのは、自分でも感じてる。おやつの置き場所、パパの帰ってくる時間、いつも通ってた散歩コースの曲がり角。

前まではぜんぶ完璧に覚えてたのに、最近は、あれ?ここどこだったっけ?って思うことがある。歩いていても、どこに向かってたっけ?って立ち止まっちゃう日もあるんだ。

それでも、それでもね、忘れてないことも、ちゃんとあるんだよ。

パパが、リア〜ただいまって言って帰ってくるときの声。お兄ちゃんがゲームしながらなでてくれる、あったかい手。お姉ちゃんがたまにくれる、おやつの匂いがする指先。ママが今日もいい子だったねって言って、耳の後ろをなでてくれる優しさ。

そういう気持ちがこもったことは、あたし、ぜんぶ覚えてる。たとえ散歩のルートを忘れても、あなたと手をつないで歩く安心感は、ちゃんと残ってるんだよ。

だからね、忘れちゃったの?って責めないでほしいな。覚えていたいことと、体が覚えてくれないことは、ちょっと別なんだ。

たとえば、トイレ。

失敗が続いたある日、ママが、そっか、覚えてないんだねって小さくつぶやいたの。それを聞いたとき、あたし、胸がギュッとなった。覚えてたいのに、できないってことが、こんなにつらいんだって、あの日知ったの。

でもね、それでも、ここが落ち着くとか、この声が安心するとか、この手のぬくもりが好きとかって気持ちは、ずっとちゃんと感じてる。

あたしたちって、人間みたいに言葉で説明できないけど、心に刻まれた大切な感情は、ずっと消えずに残ってるんだ。

あなたのそばにいるその子も、きっと同じだと思う。ごはんの時間を忘れても、おもちゃの名前を間違えても、あなたのにおいや声のトーン、ふとした表情から伝わる愛情は、ちゃんとわかってると思うんだ。

あたしがこの頃いちばん安心するのは、目が合ったとき。パパと視線がふと重なると、あ、だいじょうぶって思えるの。

それはね、その一瞬で、ここがあたしの帰る場所だって感じられるから。そんな“安心の記憶”は、たぶんどんなに年をとっても、なくならないと思う。

だから、もし、あなたのお友達がちょっと物忘れするようになっても、もうダメだって思わないでね。覚えてられないことが増えても、心の奥にある好きとか安心は、ちゃんと生きてるから。

そしてその気持ちは、あなたが育ててきた宝物なんだよ。だから、もしトイレを失敗しても、またかって思う前に、だいじょうぶだよって声をかけてあげて。

ごはんの時間を忘れてても、やさしく教えてあげてね、目が合ったときには、にっこり笑ってあげてほしいの。そうしてもらえると、あたしはまだリアでいられるって思えるから。

忘れることがあっても、大切なことは、ちゃんと覚えてる。それが、あたしからあなたへ伝えたい、私たちの、ほんとの気持ち。

いっしょにいる時間をあきらめたくないから、できることを知ってほしいんだ

わたしはね、まだまだ家族のみんなと一緒にいたいの。

15歳って、犬にとってはもう立派なシニア。でも、気持ちだけは子犬のころと変わってないんだよ。撫でられるのが好きだし、甘えるのも大好き。かわいいねって言われると、今でも嬉しくてしっぽがぴこぴこ動いちゃうの。

でも、あたしの体も、心も、少しずつ変わってきた。反応が鈍くなったり、夜になると不安になったり、忘れっぽくなったりって、そういうの、全部自分でもわかってる。

だからこそ、こうしていっしょにいる時間をこれからも穏やかに過ごすために、できることを知ってほしいなって思ったの。

たとえばね、まずおうちの環境。

最近のあたし、フローリングがちょっと滑りやすくて、歩くのが怖くなるときがあるの。パパがリビングにカーペットを敷いてくれたら、それだけでぐっと安心できた。

転ばないかなって心配しながら歩くのと、ここは安全って思いながら歩くのって、全然ちがうんだよ。もしあなたの子も、足元が不安そうだったら、やわらかいマットを敷いてあげるだけで世界が変わるかもしれない。

あとね、トイレの場所も工夫してもらえたら嬉しいな。

年を取ると、ちょっと間に合わなくなったり、トイレの場所を忘れちゃったりするんだよね。

あたしの家では、今までよりも少し近くにトイレシートを増やしてくれて、どこでも安心してしていいよってしてくれたの。失敗しちゃうたびに、ママが優しくだいじょうぶだよって言ってくれるのが、ほんとに心強いの。

そして、お散歩のスタイルも変わった。

若いころみたいにたくさん歩くのはもう難しいけど、パパと一緒にゆっくり歩く時間が、今でも大好き。風の匂いをかいで、草の上をとことこ歩いて、空を見上げてって、そういう一瞬が、心をほっとさせてくれるの。

時々は抱き上げて抱っこされたままお散歩するんだけど、それもすっごく気持ちいいんだよ。

それからね、ごはんも見直してもらったの。最近はシニア犬用のごはんにしてもらって、体にやさしい栄養がたくさん入ってるんだって。

とくに、脳の働きをサポートしてくれるっていう中鎖脂肪酸が入ってるごはんは、少し頭がすっきりする感じがしてうれしい。味もおいしくて、毎日楽しみにしてるんだ。

それともうひとつ、サプリメントっていうのも飲んでるよ。最初は、なんだこれ?って思ったけど、GABAが入ってて、心が落ち着くんだって。

飲み始めてからは夜の不安が少し軽くなって、眠れる時間が増えた気がするんだ。もしあなたの子が不安そうだったら、動物病院で相談してみるのもいいかも。

それにね、毎日のスキンシップもすごく大事。

撫でられるだけで、心がふわっとあったかくなるんだよね。とくに耳のうしろとか、首のところを優しく触ってもらうと、安心して眠れちゃうくらい。

もう歳だし、寝てばっかりだしって思わずに、ぜひ時間をつくって、そばにいてあげてほしいな。その時間が、あたしたちにとって一番のおくすりだから。

あたしは、もう若くはないけど、今日も一緒にいられてよかったって思える時間を、毎日ちゃんと感じてる。

だからこそ、まだまだあきらめたくないの。あなたと過ごすこの日々を、できる限り穏やかで、優しいものにしたいの。

あなたのそばの子も、きっと私と同じことを思ってるはず。だから、もう年だからって、あきらめないでほしいんだ。いろんな工夫や小さな手助けで、毎日がもっと快適になるんだって、知ってもらえたら嬉しいな。

だって、あたしたちにとってあなたといっしょにいる時間が、何よりも大切な宝物だから。

わたしは最後まであなたのそばにいたい

私は、昔みたいに元気に走ったり、ジャンプしたりはもうできないけど、あなたの声に耳を澄ませて、ぬくもりに安心して、今日もあなたと一緒に生きてる。

これから先、もっとできなくなることが増えるかもしれない。もっと反応が遅くなったり、もっと忘れることが増えたり、もしかしたら自分の名前だって、わからなくなる日が来るかもしれない。

でもね、それでも、あたしの中にはずっとあなたとの絆があるの。

それは、あたしがどんなに変わっても、どこかに行っちゃうようなものじゃない。
だって、あたしはあなたと一緒に生きてきたから。あなたのそばで、たくさんの季節を越えてきたから。その時間が、あたしをリアにしてくれたの。

たとえ目が合わなくなっても、声にすぐ反応できなくなっても、その奥にある想いは、ちゃんと生きてるんだよ。

心の奥のほうで、あなたが好きとか、ここが安心できるっていう気持ちは、いつまでも消えないの。

最近は、目が覚めても時間の感覚が曖昧だったり、世界がちょっとにじんで見えることがある。でも、そんなときでも、パパがそばにいてくれると、どんなに不安でもあ、大丈夫だって思えるんだ。

それは、ずっと一緒にいてくれたから。
毎日、毎晩、優しくしてくれたから。

だからね、最後まで、あなたのそばでリアでいさせてね。できることが減っても、あなたに寄り添いたい気持ちは変わらないの。もう走れなくても、目が合わなくても、名前を忘れてしまっても、あたしは、あなたの家族でありたい。

あなたも、もしそばの子にそんな変化が見えてきてもね、もう終わりかなって思う必要はないと思う。だって、その子はきっと、まだあなたのそばにいたいって思ってる。

言葉にはできなくても、きっと目で、しっぽで、ぬくもりで、それを伝えようとしてるはずだから。

あたしは、リアでいられる限り、家族にありがとうを届けたいと思ってる。

「そばにいてくれてありがとう」
「変わっても愛してくれてありがとう」
「今日も一緒にいてくれてありがとう」

私は私の家族と出会えて、その一員になれて、ほんとうによかった。だから、どうか、最後まであたしを見ててね。目が合ったその瞬間に、あ、リアだねって思ってもらえるように、わたしは、ずっとリアのままでいようと思ってるから。

もしかしてって思ったら、気づいてあげてほしい

ここまで、あたしの話を聞いてくれてありがとう。

こんなふうに、じっくり自分の気持ちを話すのって、ちょっと恥ずかしいけど、でも、どうしてもあなたに伝えたかったんだ。

あたしが今感じてるもやもやとか不安とかは、あなたのそばにいるお友達も、どこかで同じように感じてるかもしれない。

夜にそわそわしたり、呼びかけにすぐ反応できなかったり、トイレを失敗しちゃったりって、そんな変化が見えたとき、もう年だからって流さないで、ほんの少しだけ、その子の気持ちに目を向けてみてほしいの。

もしかしたら、それは、認知機能不全症候群っていう、年齢とともに訪れる変化のサインかもしれない。

でもね、それってね、終わりじゃないんだよ。それに気づくことで、これからの暮らしがもっと穏やかになったり、安心できたりする道が見えてくるんだと思うの。

あたしは、リアとして、まだまだ家族と一緒にいたい。たとえできることが減っても、覚えてることが少なくなっても、家族のみんなのぬくもりや声、優しい眼差しを感じるだけで、ここがあたしの場所だって思えるんだから。

だから、なんか変だなって思ったら、その兆候を見逃さないであげてほしいんだ。

あたしたちはね、ほんとはあなたに気づいてほしいって思ってるんだよ。変わっていく自分がこわいっていうのもあるけど、それを支えてくれるあなたがいるなら、安心できるから。

この私のお話しが、あなたとそのお友達の毎日を、少しでもやさしくできたらうれしいな。あたしも、これからもがんばるし、あなたのお友達も、きっとがんばってるよ。

私の話を聞いてくれてありがとうね。

リアより

コメント