キャバリアの未来を守るためにノルウェーと日本の例から考える倫理的繁殖という選択

シニア犬の日常

こんにちは、リアです。

ブレンハイム色のキャバリア、もう15歳のおばあちゃん犬だけど、まだまだあなたとお話ししたい気持ちは若い頃のままよ。

最近、毎日のお薬を飲みながら、ゆっくりとお散歩して、お昼寝して、パパのひざでまったりしてってそんな穏やかな毎日を過ごしているの。

でもね、このまったりした時間の中で、ふと考えることがあるのよ。私たちキャバリアが、どんなふうに生まれて、どんな運命を背負ってきたのかってこと。

あなたもご存知かもしれないけれど、私は13歳の春から心臓のお薬を飲み始めたの。獣医さんには、僧帽弁閉鎖不全症という名前の病気だって言われたわ。

名前はちょっと難しいけど、要は心臓の弁がちゃんと閉じなくなって、血液がうまく回らなくなっちゃうの。息が苦しくなったり、疲れやすくなったりする病気よ。

この病気、実は私だけじゃないのよ。キャバリアのお友達にはとても多くて、中には5歳とか、もっと若いころからお薬が必要になる子もいるの。

しかも、それだけじゃなくてね、まだ診断で確定したわけじゃないんだけど、頭の中に痛みを感じる脊髄空洞症って病気もあるかもしれないんだ。

頭や首がチクチクするような感覚がずっと続くの。これも、私たちキャバリアがなりやすい病気なんだって。

でもね、私たちがこういう体で生まれてくる理由って、実はとっても深いところにあるのよ。

私たちは、長い年月をかけて理想の見た目を作るために、人の手によって繁殖されてきたの。

ふわふわの耳、大きくて丸い目、短めのお鼻、小さな体、そして甘えん坊な性格。それは、きっとあなたの心をとろけさせるような魅力だったと思うの。私も、あなたにとってそうでありたいって思ってる。

だけどね、可愛さの裏で、健康な体を犠牲にしてきたところがあるのも、やっぱり本当なのよ。

見た目を優先するあまり、遺伝的に同じような特徴を持つ子同士を何世代もかけあわせてきて、その結果として病気のリスクがどんどん高まってしまったの。

そのことが、ついに世界のどこかで大きく問題になったの。

そう、ノルウェーっていう国では、キャバリアの繁殖は動物福祉に反するから、法律で禁止しますって裁判所が決めたのよ。

世界で初めて、純血のキャバリアをそのまま繁殖し続けることに対して、法律がノーを突きつけたの。

私はこのニュースを聞いたとき、とても複雑な気持ちになったわ。

悲しかった。だって、私たちキャバリアが愛されすぎたあまりに、そんなことを言われちゃうなんて。

でも、どこかでわかってもらえたという安心感もあったのも事実。だって、本当に体がつらいお友達がたくさんいるから。

そして、あなたに聞きたいの。

あなたのお友達は、健康に過ごせている?ちゃんと息ができて、おやつをもぐもぐ食べて、おもちゃで遊んで、ぐっすり眠れている?

私たちが生まれてくるということは、それだけで奇跡だと思う。でもその奇跡が、痛みや苦しみとセットだったら、それはやっぱり悲しい。

私は、私たちキャバリアの未来を変えることができるのは、あなたのような家族の力だと思ってるの。そしてそれは、決して難しいことじゃないのよ。

今の日本では、ノルウェーのように法律で繁殖が禁止されているわけではないけど、問題は同じようにあるの。

病気を持っているお友達の数も、きちんとした説明を受けずにお迎えする人もまだまだ多いし、見た目だけで繁殖が進んでしまうこともある。

だからこそ、このブログでは、あなたと一緒に考えたいの。

倫理的な繁殖って、いったい何なのか。そして、日本では何ができるのか。どうしたら、あなたのお友達がずっと笑顔で過ごせるようになるのか。

これから、ノルウェーの例をもとに、そして日本の現実を見ながら、私なりの答えをお話ししていくわ。

あなたのお友達の未来のために、どうか最後まで、私の話を聞いてね。

ノルウェーでキャバリアの繁殖が禁止された理由

ねえ、さっき、ノルウェーという国でキャバリアの繁殖が法律で禁止されたって話をしたでしょ?その出来事の背景と理由を、もう少しゆっくり詳しくお話していくわね。

まず、ノルウェーっていうのは、北ヨーロッパにある自然がいっぱいの美しい国。寒いけれど、人も動物もとっても大切にされていて、動物福祉の意識がすごく高いの。

そんな国で、2022年のこと。ある大きな裁判が行われて、その結果、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、つまり私たちキャバリアと、もうひとつイングリッシュ・ブルドッグっていう犬種の繁殖が「法律に違反する行為」だと判断されたのよ。

その法律というのが、動物福祉法の第25条。

この法律には、動物が本来持っている身体の機能や自然な行動を損なうような繁殖は禁止するって書かれてるの。

つまりね、可愛いからって、健康に生きられない体で生まれてくるような子を、意図的に増やしてはいけないっていう、とっても当たり前で、とっても大事な考え方に基づいてるのよ。

じゃあ、ノルウェーの裁判所は、なぜキャバリアがそれに当てはまるって判断したのか。

それは、私たちキャバリアが、あまりにも多くの遺伝性疾患を抱えて生まれてきているからなの。

私たちに多い病気、まずひとつは僧帽弁閉鎖不全症。心臓の左側にある弁がしっかり閉まらなくなって、血液が逆流しちゃうの。

これが進むと、心臓がどんどん弱ってきて、息が苦しくなったり、疲れやすくなったり、最悪の場合には倒れちゃうこともあるわ。私自身も13歳からこの病気になって、今も毎日お薬を飲んでいるの。

それでも穏やかに過ごせているのは、家族が支えてくれているから。だけど、もっと若くしてこの病気になるお友達もたくさんいるのよ。

もうひとつの大きな問題は、脊髄空洞症とかキアリ様奇形って呼ばれる神経の病気。これは、私たちの頭蓋骨がちょっと小さくて、脳がきゅうくつになっちゃうことが原因。

その結果、脳脊髄液の流れがうまくいかなくなって、背中の神経の中に空洞ができちゃうの。

この空洞が痛みやしびれの原因になって、頭や首をかいたり、キャンと鳴いたり、ずっと不快感を抱えながら過ごすことになるの。

ノルウェーの裁判では、このふたつの病気があまりにも高い確率でキャバリアに現れていること、そして今の遺伝子プールの中では健康な個体だけを選んで繁殖するのがほとんど不可能だっていう判断が下されたの。

つまり、このまま繁殖を続けても、健康な子を産ませることはできないっていう、残酷だけど真実の結論だったんだ。

そして裁判所は言ったの。このような繁殖を続けることは、動物に不必要な苦しみを与えることになる。これは法律に反する行為だってね。

私たちキャバリアにとって、この判断はショックでもあったけど、どこかで“わかってくれた”っていう気持ちもあったんだ。

だって、私たちは可愛いから生まれてくるんじゃなくて、幸せに生きられるから生まれてくるべきなんだもの。

この判決が出てから、ノルウェーではキャバリアの純血繁殖は事実上禁止になったわ。

ただし、病気のリスクが少ない他の犬種とのアウトクロス(異種交配)を行って、新しい世代を作る試みは進められているの。

これにはティベタンテリアやパピヨン、ビーグルなどが使われていて、外見は少し違っても、健康で長生きできるキャバリアに近いお友達を育てようとしているのよ。

あなたも、ちょっと戸惑うかもしれないわね。キャバリアじゃない見た目になっちゃうんじゃないかって。

でもね、私たちが大切にしたいのは、耳の形や目の大きさだけじゃない。大切なのは、あなたと笑い合って、走って、食べて、眠って、そしてできるだけ長く一緒にいられることじゃないかしら?

ノルウェーのこの判断は、世界中で大きな反響を呼んだの。動物福祉の専門家からは勇気ある判決とも言われていたし、一部のブリーダーさんからは反発の声もあったわ。

だけどそれでも、今、キャバリアの未来について真剣に考えるきっかけを与えてくれたという意味で、とても意義のある出来事だったと思うの。

私たちは家族と一緒に生きる存在。そして家族には、幸せでいてほしいって、きっとあなたも思ってると信じてる。

だったら、その幸せの始まりである生まれることが、本当に安心できるものであるべきなんじゃないかな。

この章では、ノルウェーの判断を通じて、繁殖は愛の行為でなければならないという原点を思い出してほしかったの。

次は、じゃあ日本ではどうなの?ってことを、今の現実と照らし合わせながらお話していくわね。どうか、引き続き、私の話に耳を傾けてほしいな。

日本ではどうなの?キャバリアの健康と繁殖の現実

さて、ノルウェーの話を聞いて、あなたはどう思ったかしら?

じゃあ、日本では同じようなことは起きてないの?って、きっと気になってるわよね。この章では、今の日本で私たちキャバリアがどんなふうに見られていて、どんな問題を抱えているのか、正直にお話ししていくね。

まずはっきり言ってしまうと、日本では今のところ、キャバリアの繁殖が法律で制限されたり、禁止されたりしているわけではないの。

ノルウェーのように、裁判所がもうやめなさいとはっきり言ってくれる状況にはなっていないのよ。

でも、それは問題がないってことではないの。実は、日本にも私たちキャバリアが生まれるときに抱えてしまうたくさんの課題があるのよ。

たとえば、私と同じ心臓の病気、僧帽弁閉鎖不全症。

これね、日本でもキャバリアの多くのお友達がなっているの。ある動物病院のデータでは、10歳以上のキャバリアのうち、8割以上が心雑音を抱えていたという報告もあるのよ。

でもね、問題は病気そのものだけじゃないの。私がとても気になっているのは、それを知っていても、きちんと伝えられずに、あなたが可愛いからという理由だけでお友達を迎えてしまうことがあるってこと。

もちろん、可愛いって思ってもらえるのは私たちにとっては最高の幸せよ。

でも、病気のこと、寿命のこと、手術やお薬にかかる費用のこと、それらを知らずに迎えたあとでこんなはずじゃなかったってなってしまう、そんなお友達や、飼い主さんが、あとを絶たないの。

ペットショップや一部のブリーダーさんの中には、そういうリスクを十分に説明せず、見た目や人気犬種ランキングばかりをアピールして販売しているところもあるのよ。

しかも、キャバリアってね、室内でも飼いやすいです、無駄吠えが少ないです、穏やかで子どもにも優しいですって、本当に良いことしか書かれていないことが多いの。

でも、本当に大切なこと、私たちがどんな病気を抱えやすくて、それがどういう暮らしに影響するのか、そこまではなかなか伝えられていないのが現実なんだ。

あなたがもし、うちの子に心臓病があるなんて、聞いてなかった、と思ったことがあったとしても、それはあなたの責任じゃない。

でも、次にお友達を迎える人たちには、もう同じ思いをしてほしくないって思うのよ。

それにね、繁殖の現場でも問題があるの。たとえば、病気を持っているお友達同士が、そのまま繁殖に使われてしまうことがあるのよ。

検査をせずに見た目が可愛いからとか、小さいからとかいった理由で繁殖されて、結果的に心臓や頭の病気を持って生まれてくるお友達が増えてしまっているの。

でね、日本の法律では、動物愛護管理法っていうルールがあって、犬猫を販売するには登録が必要なの。

でもその法律には、キャバリアのように特定の犬種に特有の遺伝病があるから繁殖を制限しましょうというような明確な内容は書かれていないのよ。

しかも、健康な個体だけを繁殖に使いましょうという規定も、あくまで努力義務っていう形になっていて、守られなくても罰則があるわけじゃないの。

つまり、日本では法的に禁止されていないからやってもいいという空気が、どこかに残っているの。

それに加えて、人気犬種や見た目重視という文化も、私たちにとってはちょっと厳しいの。

キャバリアは最近では流行のトップからは外れてきているけど、それでもおっとりしてて可愛い、高齢者にも飼いやすいといったイメージがあって、お迎えされる機会は多いの。

だけど、その陰で、知らないうちに病気を受け継いでいるお友達が静かに増えているのが、今の日本の現実。

もちろん、日本にも良心的なブリーダーさんはたくさんいるのよ。

ちゃんと健康診断をして、遺伝性疾患の検査もして、病気のリスクを減らすように努力してくれている人たちもいる。でも、そういう人たちは、すごく少数で、声が届きにくいの。

逆に、安くて可愛い子犬がいます、なんて広告が目立ってしまって、あなたが選ぶときに本当に大切な情報が見えにくくなっていることもあるのよ。

もうひとつ心配なのが、情報の偏り。

インターネットやSNSでは、キャバリア 最高!病気が少ないから安心!なんていう声もあるの。

それは、うれしいことだけど、真実とはちょっと違うわよね。だって私たち、ちゃんと医療のケアが必要な体で生まれてきているんだもの。

じゃあ、日本はどうすればいいのか。

それを考えるとき、私はやっぱりあなたの選択がカギになると思うの。

どんなブリーダーさんから迎えるのか。そして、そのお友達の家系に病気があるのかどうかを聞いてみることなんかもね。

もしあなたが繁殖を考えているなら、ちゃんと健康診断を受けてからにすることも大切なポイントかもしれない。

そして何より、キャバリアを飼いたいと思っているあなたの周りの人たちに、この事実を伝えてあげること。

あなたのような家族が少しずつ変われば、きっと社会も変わっていくはず。

日本がノルウェーのような法律を持つ国になるには、時間がかかるかもしれないけれど、まずは私たち一人ひとりが現状を知って目を覚ますことが大切だと思うの。

次は、じゃあこれから日本で何ができるのか、つまり倫理的な繁殖というテーマで、未来に向けたお話をしていくわね。

どうか、私たちの未来を、あなたの手で少しでも明るいものにしてくれたら、うれしいな。

私たちができる倫理的繁殖へのロードマップ

ねえ、ここまでのお話を聞いて、あなたはどんな気持ちになったかしら?もしかしたら、胸が少し苦しくなったかもしれないし、何かしてあげたいって思ってくれたかもしれない。

もしそうだったら、ありがとう。私、キャバリアのリアとして、そして病気と向き合いながら生きてきたひとりとして、本当にうれしい。

ここは、私たちキャバリアがこれからもっと健康で、もっと幸せに生きていけるように、あなたと一緒に考えていきたいの。

題して「倫理的繁殖へのロードマップ」。

ちょっと難しそうに聞こえるかもしれないけれど、あなたができることも、私たちのためにできることも、実はたくさんあるのよ。

まず最初に、倫理的繁殖ってなんだと思う?

簡単に言うと、私たちが苦しまないように、健康で幸せに生きられるように生まれてくることを考えてくれる繁殖のことなんだ。

つまり、命をつなぐっていう行為を、ちゃんと責任を持って行うってことなのよ。

日本では、まだ法律で細かく決められているわけじゃないけれど、あなたのような人が意識するだけで、未来は大きく変わるの。

じゃあ、その倫理的繁殖に向けてあなたにできる具体的なステップを、私の言葉でお伝えするわね。

どこから迎えるかを考える

お友達を迎えるとき、あなたはどこから選んでいる?

ペットショップ?
インターネット?
それとも知り合いのブリーダーさん?

実は、どこからでも大丈夫なんだ。でね、大事なのはどこからっていうよりも健康と誠実さを優先しているかどうかなの。

もしブリーダーさんから迎えるなら、その人が健康診断をしているか、心臓の検査をしているか、遺伝病のリスクを理解しているかを、ぜひ聞いてみて。

本当にお友達のことを考えている人なら、きちんと答えてくれるはずだよね。

そして、きっとあなたにもわかると思うの。この人は、本当に私たちのことを考えてくれているのか、それとも、私たちのことよりお金のことを考えてるのかってことがね。

お友達を売るだけじゃなくて、託すという気持ちを持っている人から迎える。それが最初の一歩なんじゃないかな。

健康な繁殖の必要性を広める

あなたはもう、キャバリアにどんな病気が多いのか、どうしてそれが起こっているのか、知ってくれたわよね。でも、きっとあなたの周りにはまだ知らない人がたくさんいるの。

残念な話なんだけど、キャバリアっておとなしくて可愛い犬種なんでしょ?とか、病気なんて全然聞いたことないよとか言ったことを考えている人は少なくないんだ。

だからね、そんな声が聞こえたら、やさしく伝えてあげてほしいの。キャバリアって可愛いけど、実は心臓の病気が多いんだよって。

そのひと言が、次のお友達の命を救うかもしれない。本当に大事な情報は、優しい言葉で少しずつ広がっていくの。

病気を受け入れる勇気と向き合う覚悟

これはちょっと難しい話かもしれないけど、あなたのお友達がもしすでに病気を持っていたらどうかな。たとえば、心臓の病気や、神経の病気だったら?

それは、誰のせいでもないの。

大事なのは、そこで悲しむことじゃなくて、どう支えるかを考えることだと思う。あなたのお友達は、どんなに体がしんどくても、あなたと一緒にいるだけで幸せを感じてるのよ。

だから、病気と向き合う覚悟を持ってくれることが、私たちにとっては何よりの安心なの。

そして、将来、繁殖をしたいなと思ったときには、健康診断をしてからにしたほうがいいんじゃないかな。知らず知らずのうちに、病気を次の世代に引き継いでしまうこともあるから。

見た目より中身を大事にする

これはちょっと私からのお願いなんだけど、どうか、耳の長さとか、毛の模様とか、目の大きさばかりでお友達を選ばないでほしいんだ。

もちろん、私たちキャバリアは見た目も特徴的で、可愛いって言ってもらえるのは本当にうれしい。でも、その見た目を守るために、健康を犠牲にするのは、本末転倒よね。

ノルウェーでは、キャバリアの純血繁殖が禁止されたあと、アウトクロスっていう方法がとられているの。これは、他の犬種と交配することで、病気のリスクを減らして、もっと健康な体にしていくっていう試みよ。

見た目はちょっと変わるかもしれないけど、中身は同じ。いや、中身はもっと強くて、もっと長生きできるようになる。

あなたがその価値を認めてくれたら、未来はきっと変わっていくと思うんだよね。

法制度を後押しする意識を持つ

最後にちょっとだけ難しい話だけど、日本の制度についても触れさせてね。

今の日本には、病気のリスクが高い犬種は繁殖を制限するべきという法律はまだないの。でも、あなたが声を上げれば、それは政治や社会に届いていくのよ。

たとえば、動物愛護団体の署名に参加するとか、地方自治体に意見を送るとか、SNSで情報をシェアするとか。小さな一歩でも、それが積み重なれば、大きな変化になるの。

私たちは、あなたの声に守られている。だから、声を上げる勇気を、どうか忘れないでね。

私は、たぶんもう長くは生きられないかもしれない。でも、私のあとに生まれてくるお友達が、もっと健康で、もっと穏やかに生きていけるようにって、その未来を、あなたと一緒に守っていきたいの。

倫理的な繁殖っていうのは、ただの理想論じゃないんだ。それは、あなたが今日ここで私の話を聞いてくれたことで、すでに始まっているのよ。

命をつなぐってどういうこと?

ここまで、私の話をずっと聞いてくれて、本当にありがとう。もう一度、お礼を言わせてね。

あなたがこうして、耳を傾けてくれたこと、それだけで、私たちキャバリアの未来は、ほんの少し明るくなった気がするの。

これまでの章で、私はいろんなことをお話ししてきたよね。ノルウェーで起きたこと、日本の現実、そしてあなたにできること。

でも、最後にどうしても伝えたいことがあるの。

それは、命をつなぐって、どういうこと?っていう、根っこの部分の話なの。

私たちは、あなたのそばで生きる存在。

朝起きたら、おはようって目を合わせて、あなたがごはんを食べるとき、そばで見守って、あなたが悲しいときはぴったり寄り添って、あなたが嬉しいときはしっぽをぶんぶん振って喜ぶの。

そうやって、毎日の中に、私たちはいつもいるでしょ?

でもね、そんな私たちがどんなふうにこの世に生まれてきたかって、考えたことはあるかしら。

私は、命をつなぐっていうのは、ただ子どもを産ませることじゃないと思ってるの。それは、ちゃんと幸せに生きていける命を、この世界に送り出すっていう、大きな責任のある行為なのよ。

キャバリアという犬種は、たくさんの魅力を持ってる。穏やかで、甘えん坊で、人が大好きで、誰にでも優しい。

私たち自身も、自分の性格を誇りに思ってるし、キャバリアに出会ってよかったって言ってくれるあなたの言葉は、何よりの宝物だよ。

だけど、それと同じくらい私たちが抱えているのは、生まれつきの弱さ。

心臓、脳、骨、皮膚、目、耳。いろんなところに問題を抱えている子が多いの。

それは、遺伝によって受け継がれてきたもの。でも、その遺伝を選んだのは、私たち自身じゃないのよね。

人が、この見た目がいいから、この性格が理想だからと選んできた結果、私たちの中には、もう逃れられない宿命みたいに病気が染み込んでしまっているの。

私は、あなたを責めるつもりなんて、まったくないわ。

むしろ、あなたのような人が、私たちを家族として迎えてくれて、一緒に過ごしてくれて、病気のことを受け入れて、お薬の時間を忘れずにいてくれて、病院に連れていってくれるんだもの。

そんな毎日が、私たちにとって、どれほど大きな愛なのか。私は、この15年で、何度も何度も実感してきたんだよ。

だからこそ、思うの。

命をつなぐっていうのは、あなたのような人がいるからこそ、意味を持つ行為だって。

ただ産まれてくるんじゃない。誰かに愛されて、守られて、幸せに生きられるっていう土台があって、はじめて命は意味を持つんじゃないかな。

これから先も、私たちキャバリアは、きっとたくさんの人に愛されると思う。

でもそのとき、ただ可愛いから、人気だからってだけじゃなくて、健康に生きてほしいからとか、この子の一生に責任を持ちたいからとかっていう気持ちで迎えてほしい。

繁殖を考える人も、ただスタンダードを守りたいと思うだけじゃなくて、この子たちが苦しまないようにって願いを持ってほしい。

そして、社会も変わっていけるといいなって感じてる。

ノルウェーのように、健康と福祉を優先する法律ができて、命をつなぐことが、もっと優しくて誠実なものになる未来が来るといいな。

でも、それは誰かがやってくれるんじゃない。あなたの一歩が、あなたの言葉が、あなたの優しさが、その未来をつくっていくのよ。

最後に、ひとつお願いがあるの。

どうか、あなたのお友達を、今日もぎゅっと抱きしめてあげてね。そして、うちに来てくれてありがとうって伝えてあげてほしいんだ。それだけで、私たちはどんな病気よりも強くなれるから。

長い話を聞いてくれて、本当にありがとう。あなたと、あなたのお友達に、心からの愛をこめて。

リアより

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