15歳のキャバリアの私が語る、年を重ねることの喜びとちょっぴり不安な気持ち

シニア犬の日常

こんにちは。リアだよ。

今年もまた、冷たい風がふわりと吹いて、あたしの長い耳をくすぐる季節がやってきたね。窓から差し込む朝の光も、少しずつやわらかくて白っぽくなってきて、冬がそこまで来てるのがわかるの。

こんにちは。あたしは、キャバリアのリア。今年で15歳になったの。あなたのお友達のわんこたちの中にも、きっとシニア期に入ってる子がいるんじゃないかな。今日はそんなあなたに、ちょっとだけ話を聞いてほしくてお話ししたいんだ。

あのね、15年という時間を過ごしてきたあたしの中には、たくさんの、嬉しいことや優しい思い出があるんだ。でもね、同じくらいちょっぴり不安なこともあるのよ。若い頃には感じなかったようなことを、今はふっと思ったりするようになったの。

この時期って、気温が下がって体にも心にも、いろんな影響が出やすいでしょう?特にシニアのあたしたちにとっては、朝起きるのもちょっと大変だったり、外に出るのをためらったりする季節なの。そんな今だからこそ、年を重ねるってどういうことなんだろう?って考えるようになった。

あたしが年をとって変わったこと。それでも変わらずに大切にしていること。そして、あなたとあなたのお友達に伝えたい、小さな想い。

今日はそれを、あたしなりの言葉でお話ししていこうと思うの。もしよかったら、最後まで聞いてくれたら嬉しいな。

年を重ねるって、どういうこと?

15歳って、すごいね、とか、よくここまで元気でいてくれたねとか、ってお散歩中や病院で、そう声をかけられることが増えたんだ。たしかに、15歳っていう年齢は、キャバリアとしては長生きさんって言われる歳かもしれない。でもね、あたしからすると、なんとなく過ごしていたら、ここまできちゃったって感じも、正直あるのよ。

もちろん、若い頃のあたしは、もっと元気で、もっと速く走れて、もっといっぱい遊べたし、体力だってあったし、朝から晩までねえねえ、遊ぼうよ!って、ずっとしっぽをふってたんだよね。でもね、今のあたしは、今日をゆっくり味わうことのほうが、ずっと好きなんだ。

あたしにとって年を重ねることって、できなくなることが増えるっていうよりも、感じることが今までより深くなるっていうことなの。たとえば、パパの足音が聞こえただけで、胸がふわっと温かくなるし、お散歩の帰り道で見上げる空の色が、昔よりずっと優しく見えるんだ。それからね、ごはんの時間になると、ママの声がうれしくて、自然と顔がほころんじゃうの。

こんな風に、なんてことない日常のひとコマが、いまのあたしには特別なの。若い頃には、もっと走りたいとか、もっと遠くに行きたいって気持ちが強かったけど、今はこの場所が大好きとか、この時間をゆっくり楽しみたいとかって思うようになったんだ。

あなたのお友達にも、そんなふうに感じる子がいるんじゃないかな?年をとることが何かができなくなるって、思われがちだけど、ほんとは心の感度が上がるっていう一面もあるんだよね。前よりもずっと、家族の表情に敏感になったし、言葉じゃなくても気持ちが伝わってくる気がするの。

それに、15年も生きてくると、これはいいことだとか、これはやめておくべきことだとかって、自分の中で取捨選択が自然にできるようになるの。たとえばね、おやつを食べるとき、前はなんでもがっついてたけど、今はこれはちょっと重たいかなって、考える余裕があるんだ。それって、賢くなるってことでもあるんじゃないかしら。

もちろん、年を重ねると、体のあちこちにちょっとした不調が出てくるし、なんか今日はだるいなあって思う日もあるよ。でも、そういう自分を責めたりはしないんだ。そういう日もあるよねとか、今日はゆっくり過ごそうとかって、自分にやさしくしてあげるようにしてるの。

たまにね、コロンくんと話すんだけどね、リアちゃんって、いつも落ち着いててすごいなって、コロンくんは言ってくれるんだ。でもね、あたしはね、たくさんの時間を重ねてきたからだよって思うんだ。

時間を重ねるって、ただ年齢が増えるだけじゃないのよ。ひとつひとつの経験が、あたしの中にあたしらしさを育ててくれるの。それが、年を重ねることの意味だと、あたしは思ってる。

あなたも、お友達と一緒に年を重ねていく中で、きっといろんな発見や変化を感じることがあると思うの。そのときは、あたしのことをちょっと思い出してね。この子は、こんなふうに感じてたんだなって。そう思いだしてくれたら、それだけで嬉しいな。

わたしが嬉しいって感じる時間

若い頃のわたしは、どこに行こうとか、誰と会えるかなとかって、毎日が冒険みたいだったの。でもね、15歳になった今、あたしの嬉しいは、少しだけ違うかたちをしてるの。

たとえば、パパの膝の上でウトウトしている時間。前は早く降りて、おもちゃで遊ぼうって思ってたのに、今はこのあったかさ、最高って、そのまま夢の中に落ちちゃうくらい。パパの心臓の音が、トクントクンって聞こえてきて、それが子守歌みたいなのよ。

それから、お姉ちゃんが帰ってきてただいま〜って言ってくれる声もね、わたし、その声を聞くとね、しっぽが自然にふわふわ動いちゃうの。別に何かもらえるわけじゃないし、特別なイベントでもない。でも、今日も一緒に過ごせるってわかるだけで、胸がポカポカするの。

そして何より嬉しいのは、わたしのことをよくわかってくれてるっていう安心感。

そろそろお水飲みたいでしょって、ママが水皿を近くに置いてくれたり、
今日は寒いから、お散歩は短めにしようねって、パパがそっと抱き上げてくれたり、あたしが何も言わなくても、ちゃんと気持ちを読んでくれるの。

それってね、ほんとにすごいことだと思うのよ。あたしが言葉を話せないってこと、家族はとっくにわかってて、それでもちゃんと伝わるって思ってくれてる。それがどれだけ嬉しくて、心強いかわかるかな。

それにね、コロンくんやルナちゃんと会う時間も、あたしにとってはとても大切。コロンくんは相変わらず元気いっぱいで、リアちゃん、今日も走ろうよって誘ってくるけど、わたしがちょっとだけねって言うと、うん、じゃあゆっくりでいいよって合わせてくれるの。あの子、やんちゃだけど優しいとこあるのよね。

ルナちゃんはというと、あたしが黙って外を見ていると、何も言わずに隣に座ってくれるの。一緒にいるよって、静かに伝えてくれるその感じが、わたしはとても好きなんだ。

わたしの嬉しいは、もう昔みたいに激しくて大きなものじゃないの。もっと静かで、穏やかで、心の奥にしみるようなものなんだよね。

寒い日に毛布にくるまることや、お日さまの光を浴びながら、ぼんやりすること、そして、家族の声を聞いて、心があたたかくなることってとても素敵なことなんだと思えるようになったんだ。

だからね、そんなふうに、小さなことひとつひとつが、いまのあたしを満たしてくれるんだ。

あなたのお友達にも、そんな静かな嬉しさがあると思うの。若い頃は見逃してしまいそうな、小さなサインなんだけど、でもそれに気づいて、そっと寄り添ってくれるあなたの優しさが、何よりも嬉しいと思えるんだ。

だからね、どうか何かをしてあげなきゃって思わなくてもいいんだよね。ただそばにいて、ここにいるよって伝えてくれるだけで、私たちはとても幸せなの。

ちょっぴり不安なことも、正直に話すね

嬉しいこともたくさんあるけれど、やっぱりね、15歳という歳になると、正直ちょっぴり不安になることもあるの。あまり弱音は吐きたくないけど、今日はあなたにだから、ちゃんと話してみるね。

わたし、10歳のときに子宮蓄膿症っていう病気になって、命がけの手術を受けたの。そのときは本当に苦しくて、もう会えないかもしれないって家族が泣いていたこと、うっすら覚えているんだ。手術が終わって、ママの手のぬくもりを感じたとき、わたしは、ああ、戻ってこれたんだって思ったんだよね。

それから13歳の春、今度は心臓の病気が見つかったんだ。僧帽弁閉鎖不全症っていう、キャバリアにはとても多い病気なんだよ。心臓がうまく働かなくなって、咳が出たり、すぐ疲れたりするのよね。

だからね、今はお薬を毎日飲みながら、穏やかに暮らしているけれど、やっぱり今日はちょっとしんどいかもって感じる日もあるの。

特に最近は、朝の冷え込みがつらくて、起きるのに時間がかかるの。関節もこわばるし、布団から出るのがイヤで、しばらくもぞもぞしてしまう。パパのリア、起きるよって声が優しいのに、体が思うように動かなくて、ごめんね、もうちょっとだけここにいさせてって、心の中でそっとつぶやいてる。

階段の上り下りも、前はスタスタ歩けたのに、今はちょっとずつゆっくり上り下りするようになったんだ。たまに足を滑らせそうになると、前はこんなじゃなかったのになって思って、少しだけ切なくなるの。

あなたのお友達にも、そんなふうに今までだったらできたことができなくなる経験をしている子がいるかもしれないよね。そのときは、どうか焦らせたり、責めたりしないであげてほしんだ。わたしたち、できるだけ頑張ってるのよ。ほんとに、静かに、でも一生懸命にね。

それから、もうひとつ。最近ね、もしも明日、今みたいに元気でいられなかったらどうしようって、不意に考えることがあるの。心臓の音が少し違って聞こえたり、眠ってる時間が長くなったりすると、これって、なにか変化が起きてるのかなって、不安が胸に広がるんだ。

誰にも言ったことはないけれど、ほんとは毎晩明日もちゃんと目が覚めますようにって、そっと願ってるんだ。

でも不思議なことに、そういう気持ちのときこそ、そばにいてくれる誰かの存在が、わたしの心をふっと軽くしてくれるのよね。

パパが背中を撫でてくれると、安心して呼吸が深くなるし、ママの大丈夫よって声が、胸の奥に明かりを灯してくれるんだ。わたしたちは言葉を話さないけれど、あなたがそっと寄り添ってくれるだけで、大丈夫なんだって思えるの。

だから、もしあなたのお友達がちょっと元気がない日があったら、何かをしようとする前に、まずはそばにいてあげてみてほしいんだ。手を添えて、静かにここにいるよって伝えてくれるだけで、十分伝わるんだよね。

わたしはね、そうしてもらえるから、今日も安心して眠れるの。そしてまた明日も、生きていこうって思えるんだ。

あなたとあなたのお友達へ、わたしから伝えたいこと

わたし、15歳になって思うの。これまでにたくさんのことを経験してきたけれど、一番大事だったのは、誰かと一緒に過ごせることだったなって。

あなたと一緒に暮らすお友達も、きっとそう感じてるんじゃないかな。特別なことじゃなくていいんだ。ただ一緒にいられる、それだけで、わたしたちの心は満たされるのよ。

確かに、若い頃は、何をしたかとか、どこへ行ったかが嬉しかったよ。でも今は、誰といるかとか、どう感じたかとかが、何よりも心に残るようになったの。

お友達が年を重ねてきたとき、少しずつ動きが遅くなったり、体調に波が出たりするかもしれない。この子、前より元気がないなとか、歩き方が変わったかもって思うこともあるでしょう?でもね、それは悲しいことじゃないの。わたしたちがいまを丁寧に生きているっていう証だから。

そして、そんなときこそ、あなたの存在がとても大きな支えになるはずなんだ。何も言わなくても、そばにいてくれるでしょ。疲れているときに、そっと毛布をかけてくれたり、いつもと違う様子に気づいて、大丈夫?って目を見てくれるよね。

その一つ一つが、わたしたちにとっては、かけがえのない時間なのよ。

わたしね、パパやママと過ごす時間が、今まででいちばん心にしみるようになったの。今日も一緒にいるんだとか、明日もまた会えるんだとか、そう思えるだけで、自然と胸の中があたたかくなるんだよね。

あなたとあなたのお友達も、きっと同じだと思う。一緒に過ごしてきた年月があるからこそ、お互いのことが手に取るようにわかるようになるんだ。それって、本当に特別な関係よね。

だからお願い。もし、あなたが、何ができるだろう?って考えることがあるんだったら、そうじゃなくて、その子といま一緒にいられているかなって考えてみてほしいんだ。

わたしたちにとって、なによりも嬉しいのは、一緒にいるということだから、あなたの声、ぬくもり、呼吸のリズムその全部が、わたしたちの安心になるの。

それからもうひとつ、わたしから伝えたいことがあるんだ。それはね、年をとることは、寂しいことでも、悲しいことでもないってことでね、年を重ねたからこそ見える景色があって、気づける優しさがあって、手を添えてくれる誰かの想いが、胸の奥に響くようになるってこと。

だから、あなたもお友達と一緒に、ゆっくりでいいから、いまを感じることができたなら、その時間がきっと、これから何年経っても、あなたの心に残る宝物になると思うの。

そしてそのとき、ほんの少しでいいから、わたしの言葉を思い出してくれたら嬉しいな。こんなふうな話があったなって、あなたの胸に残ってくれたら、それだけでわたしは幸せ。

そして今日も、静かに幸せをかみしめてる

窓辺に差し込む冬の朝のひかり。そのやわらかさに包まれながら、わたしは今日も静かに、静かに目を覚ますの。

体を起こすのに少し時間がかかる日もあるし、お水を飲むとき、脚がふらっとすることもある。それでも、わたしの一日はちゃんと始まって、ちゃんと続いているよ。

パパの「おはよう」の声だったり、ママの朝の身支度の音だったり、お兄ちゃんとお姉ちゃんが、バタバタしながら家を出ていく気配だったり、その全部が、いつもの風景で、いつもの幸せなんだよ。

わたしね、15歳になってようやくわかったの。何かを手に入れることよりも、いまあるものを感じることが、どれだけ心を満たしてくれるかってこと。

日だまりのあたたかさ、それから、家族の声、そして、ふと見上げた空の広さとかね。それらはすべて、わたしが今日を生きている証なんだと思う。

あなたとあなたのお友達にも、そんな毎日があるはず。だから、急がなくていいの。競争しなくていいの。ただ、目の前にある時間を味わって、寄り添って、過ごしていく時間、それが、わたしたちにとって何よりの幸せだから。

わたしは、今のこの季節がとても好き。寒いけれど、静かで、心が深くなるからね。そして、大切なことに目を向けやすくなる季節だから。

わたしがこの冬を迎えられたことで、あなたにこうして伝えられたことが、わたしにとっては何よりの贈り物。

あなたがわたしの言葉を聞いてくれて、少しでも、わかるよって思ってくれたなら、わたしはとても嬉しいな。

これからも、あなたとあなたのお友達が、やさしくあたたかい毎日を過ごせますようにって祈ってるね。

リアより

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