こんにちは、リアだよ。
キャバリアのブレンハイム、もう15歳になるんだ。のんびり屋でちょっと頑固だけど、毎日パパのそばで幸せに暮らしてるの。
でもね、ふと考えることがあるの。どうして私たちは、こんなにも人のそばが好きなんだろうって。そして、どうしてこんなに甘えん坊で、こんなに優しい性格になったんだろうって。
私たちキャバリアがどこから来て、どんなふうに今の姿になったのか。
そして、あなたのお友達や私たちが、どうやってこの日本にたどり着いたのか。
そのことを知ってもらえたら、あなたとお友達の絆も、もっと深くなるかもしれないって思ったの。
だから今日は、私たちキャバリアの歩んできた物語を、ちょっとだけまじめにお話しするね。
遠いイギリスの宮殿から始まった旅、そして日本でブリーダーさんたちがどんなふうに私たちを育ててくれたか。
そこには、たくさんの優しさと努力、そして命をつなぐという強い気持ちがあったの。
さあ、これから私が語るのは、あなたとお友達にもきっと関係のあるお話。どうか、最後まで聞いてくれたらうれしいな。
はじめまして、キャバリア。イギリスからの旅立ちと日本での出会い

ねえ、お友達のキャバリアって、きっと甘えん坊で、ちょっとしつこいくらいに一緒にいたい!っていう気持ちを見せてくるよね?実はね、その性格はわたしたちの血の中にずっと流れてきたものなんだよ。
それはもう、何百年も前、イギリスの宮殿で、ドレスを着たお姫様や王様の膝の上に、私たちのご先祖がちょこんと座っていた時代から始まるの。
わたしたちキャバリアの祖先は、トイ・スパニエルって呼ばれていて、16世紀から18世紀ごろのヨーロッパでとっても人気だったの。
特にイングランドでは、女王さまや貴族たちの間で膝の上でくつろぐ愛され犬として大切にされていたんだよ。
中でも有名なのが、チャールズ二世という王様。彼はね、どこへ行くにもスパニエルたちを連れて歩いていたの。だから後に、この犬種はキング・チャールズ・スパニエルって呼ばれるようになったのよ。
でもね、時代が進むにつれて、私たちの顔も少しずつ変わっていったの。
だんだんと、鼻が短くなって、おでこが丸くなって、まるで赤ちゃんのような顔立ちに改良されていったんだよ。
たしかに、それもかわいい。でも、昔の絵画に描かれているような長いマズルと平たい頭を持つ私たちのご先祖の姿は、次第に見かけなくなっていったの。
そんな中、本来の姿を取り戻したいって願ったひとりの人がいたの。それはアメリカ人のロズウェル・エルドリッジさん。
1920年代、彼はイギリスで開催される犬の展覧会にチャールズ王時代の顔をしたスパニエルを見つけたら、賞金を出すよって掲示を出したんだよ。
この呼びかけに応えるかたちで、新しいクラブが生まれたの。それがキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル・クラブ。
今の私たちの正式な犬種名は、ここから始まったんだ。キャバリアはね、チャールズ二世時代の騎士(キャバリア)にちなんでるんだって。
そして戦争が終わったあと、1945年には、イギリスのケネルクラブでキャバリアが独立した犬種として正式に登録されたの。
でもね、その頃はまだ、数がとっても少なくて、たった6頭くらいしかショーに出せる犬がいなかったんだって。
限られた個体から、地道に血をつないでいったブリーダーさんたちの努力が、今の私たちにつながってるんだよ。
じゃあ、そんなキャバリアたちが、どうして日本にやってきたのか。
実は、はっきりとこの人が最初に連れてきたっていう記録は残っていないんだけど、1990年代の後半には、もう日本国内で登録されていたの。
1999年には、ジャパンケネルクラブの登録でなんと11,000頭を超えるキャバリアがいたっていうから、びっくりだよね。
当時はちょうど小型犬ブームの真っただ中で、私たちみたいに穏やかで社交的な犬が注目されていたんだと思う。
愛される性格、抱っこしやすいサイズ、そしてなにより、あなたの心に寄り添うようなやさしい目。そういうところが、たくさんの人に選ばれた理由かもしれないね。
でも、人気が高まると、それだけいろんな問題も出てくるもの。
無理な繁殖や、健康管理が行き届いていないケースも増えてしまって、心臓の病気を抱えるお友達も少なくなかったんだよ。
だからこそ、ちゃんとしたブリーダーさんとの出会いが、大切になってきたの。
このあとのお話では、日本でわたしたちキャバリアを守ってきたブリーダーさんたちのこと、そして、あなたが気づかないうちに支えてくれている人たちの努力について、ゆっくり語っていくね。
ブリーダーさんたちが守ってきた私たちの姿

わたしたちキャバリアが日本で暮らせるようになったのは、あなたみたいに私たちを家族に迎えてくれた人たちがいたから。
でもね、それだけじゃないんだよ。もうひとつ、すごく大きな役割を果たしてくれたのが、ブリーダーさんたちなの。
さっき、わたしたちが1990年代から日本で増えていったってお話ししたよね?
でも、キャバリアって見た目だけじゃなくて、性格や気質にもちゃんと血の記憶があるんだ。
それを絶やさずにつないできてくれたのが、長年キャバリアだけを育ててきたブリーダーさんたちなんだよ。
たとえばね、埼玉にあるマックアダム犬舎っていうところ。この犬舎では、ずっと昔からキャバリアのことだけを考えて育ててきたんだって。
甘えん坊で、社交的で、ちょっと頑固。そんな私たちのキャバリアらしさを、大切に守ってくれていたの。
この犬舎のキャバリアたちは、まるで絵画から出てきたみたいに、自然で美しいんだ。でも、それは見た目だけじゃなくて、心の中までちゃんとキャバリアなんだよ。
あなたのお友達が、誰にでもしっぽを振って、すぐに心を開く性格なら、それはきっと、そういうブリーダーさんのまなざしが受け継がれてるからだと思う。
広島にも橋本ブリーダーっていう方がいて、38年もキャバリア一筋で育ててこられたの。この方の犬舎では、マックアダムの血統を引き継ぎながら、健康と性格のバランスをすごく大切にしてるんだって。
でもね、ブリーダーさんたちが考えているのは、見た目のきれいさだけじゃないの。
展覧会に出るようなキャバリアって、ただ可愛いとかカッコいいっていうだけじゃなくて、理想の姿そのものを体現してるんだ。
ドッグショーでは、わたしたちの姿勢、動き方、毛の状態、顔立ち、そして何よりも気品と落ち着きが見られるの。
どうしてそんなことが大事なの?って思うかもしれないけど、それはね、キャバリアという犬が本来持っているべき姿を、正しく未来へ残すためなんだよ。
ショーに出るためには、ジャパンケネルクラブの犬種標準っていうガイドラインを守らなきゃいけないの。
そこには、わたしたちのマズルの長さ、目の形、耳の位置、体のバランス、毛の自然さ、そして歩き方にまで細かく決まりがあるの。それって、まるでわたしたちキャバリアの設計図みたいなものなんだ。
でもね、展覧会はただの競争の場じゃないよ。
それは、こんなキャバリアが理想なんだよって、ブリーダーさんたちが未来に伝えるためのステージでもあるんだ。
マックアダムや橋本ブリーダーみたいに、犬舎の名前をかけてキャバリアを送り出す人たちは、その姿に誇りを持ってるの。
でも、それって見せびらかしたいわけじゃなくて、本当のキャバリアってこうなんだよって教えたいんだと思う。
あなたのお友達がどこの犬舎からやってきたか、知ってる?もし知らなかったら、一度確認してみてはどうかな。そこには、見えないところで守ってきたキャバリアらしさがきっとあるから。
そして、そんなブリーダーさんたちの努力のおかげで、わたしたちキャバリアは今でも穏やかで、人が大好きで、愛情深くいられるんだよ。展覧会に出たことがないお友達でも、その血の中にはきっと誇りが流れてる。
あなたに寄り添うその姿の奥に、たくさんの想いが詰まっているのを、ちょっとだけ感じてみてほしいな。
このあとは、そんなブリーダーさんたちがどんなふうに、わたしたちの健康まで考えてくれているか、特に、キャバリアが抱えやすい心臓のことについて、お話ししていくね。
心臓の音に耳をすませながら健康とともに歩くこれからの私たち

あなたのお友達、最近咳をしたり、階段を上るのをためらったりすること、ない?
もしちょっとでも、ん?って感じたことがあるなら、それは心臓からの小さなサインかもしれないんだ。
わたしたちキャバリアは、とっても感受性が豊かで、人の気持ちに敏感なくらい優しい性格をしているけれど、実は、心臓にも少し弱さを抱えて生まれてくることが多いの。
特に多いのが、僧帽弁閉鎖不全症っていう心臓の病気。あなたのお友達も、いつかその名前を聞くことがあるかもしれないね。
この病気はね、心臓の中にある逆流防止弁がうまく閉じなくなって、血液が本来の流れと逆に戻ってしまうもの。
初めのうちは症状が出にくいけど、進行すると咳が出たり、疲れやすくなったり、呼吸が浅くなったりするんだ。わたしも13歳の春から、この病気と付き合ってきたんだよ。
だからこそ、ブリーダーさんたちの中には、わたしたちの健康にすごく真剣に向き合ってくれている人たちがいるの。
特に心臓病のリスクを減らすために、繁殖に使う親犬の段階で心臓の音を聴診したり、動物病院でエコー検査をしたりしてるの。
今の日本では、キャバリアを育てているブリーダーさんの中でも心臓検査済みの親犬のみで繁殖していますって明言しているところが増えてきてるの。
それって、わたしたちの将来のために、病気のリスクを少しでも減らしたいっていう想いからなんだよ。
ただね、現実には、すべての犬舎やペットショップがそうしてくれているわけではないの。
見た目だけで選ばれてしまうお友達や、価格の安さだけで決められてしまう命もある。そして、そういう子たちが後から病気でつらい思いをすることもあるんだ。
だから、あなたに知っていてほしいの。お友達を迎えるとき、元気に見えても健康は目に見えないってこと。
生まれる前からどんなふうに過ごしてきたか、どんな血の流れを引いているのか、そこにこそ、本当の安心があるんだよ。
わたしたちの健康を守るためには、ただ病院に行くっていうことだけじゃ足りないの。
毎年の健康診断で、心臓の音を聴いてもらうこと。レントゲンやエコーで、目には見えない部分をチェックしてもらうこと。何よりも、あなたがいつもとちがうかもって感じた小さな変化に気づいてくれること。
それが、わたしたちキャバリアにとって、なにより心強い支えなんだよ。
保険のことや、健康保証制度があるブリーダーさんを選ぶことも、とても大切な視点だと思う。
最近では、生体保証をちゃんとつけてくれる犬舎も増えてきているし、あなたの選択が、わたしたちの未来を変えることにもつながるんだよ。
それにね、病気と向き合うことって、ただ怖いことだけじゃないんだよ。
お薬を飲んだり、定期的に診てもらったり、ちょっとだけ運動を控えたりって、そんな毎日の中にある、静かなあなたとの絆が、私たちにとっては何よりの幸せなんだ。
わたし自身も、お薬を飲みながら15歳まで生きてこられたのは、毎日一緒にいてくれる家族のおかげ。
心臓の病気は完治するものじゃないけど、ちゃんと見つけて、付き合っていけば、まだまだたくさんの時間を一緒に過ごせるんだよ。
だからどうか、あなたのお友達の心臓の音にも、耳をすませてあげてね。
そこには、一緒に生きていきたいっていう、わたしたちからのメッセージがきっと隠れてるから。
次は、そんなあなたとお友達が、この先どんな未来をつくっていけるのか、キャバリアの命のバトンを、どう受け取ってくれているのか、最後にお話しさせてね。
あなたとお友達がつなぐ未来のキャバリア物語

ここまで、わたしたちキャバリアがどこから来て、誰に育てられ、どんなふうに健康と向き合ってきたかを聞いてくれて、ありがとう。
きっと、あなたもあなたのお友達のことを、もっと大切に思ってくれているんじゃないかなって、わたし感じてるんだ。
でもね、わたしが本当に伝えたかったのは、ここからなんだよ。
それは、わたしたちキャバリアの未来は、もうブリーダーさんだけじゃなくて、あなたの手の中にもあるってこと。
あなたのお友達は、どんな顔をしている?
耳の毛はくるんとカールしてる?
まん丸の目で、見つめてくる?
それとも、ちょっとはにかんだような表情で、そばにぴったり寄り添ってる?
その子は、何百年も前から続いてきたキャバリアの歴史と、ブリーダーさんの思いと、健康を守る努力と、全部を背負って、いま、あなたのそばにいるんだよ。
それは、ただ、かわいい、だけじゃない存在。それはもう、命のバトンそのものなんだ。
わたしたちは、ブリーダーさんに生まれを託され、あなたに育ちを託している。そして、あなたのお友達が年を重ねていくたびに、そのバトンは少しずつ、次の命へとつながっていくの。
もしかしたら、あなたのお友達が年をとって、病気になったり、歩けなくなったり、いろんな変化があるかもしれない。
でも、それってぜんぜん終わりなんかじゃないんだよ。むしろ、そこからがいちばん深い愛情が始まるんだ。
キャバリアってね、どんなときでも人のことが好きで、甘えん坊で、優しくて、たとえ体が思うように動かなくなっても、気持ちだけはずっと寄り添っていたいって思ってる。
だから、あなたの声が聞こえるだけで幸せだし、あなたの手がそっと触れてくれるだけで、安心できるの。
それはきっと、わたしたちがずっと昔から人と生きるっていう役目を背負って生まれてきたからなんだと思う。
でも、未来のキャバリアたちが、今と同じように愛されて、生まれてこられるかどうか。それは、これからのあなたの選択にかかっているんだよ。
- どんなブリーダーさんから迎えるのか
- どんなごはんを選んであげるのか
- どんな医療を受けさせてあげるのか
- どんな時間を一緒に過ごしていくのか
それらぜんぶが、未来のわたしたちをつくっていくんだ。
あなたの優しさが、あなたのお友達を守り、そしてその命の温もりが、次のキャバリアへとつながっていくんだよ。
それは、血統よりも深い、心のバトン。
わたしも15歳になって、昔みたいに走り回ったりはできないけれど、それでもまだ、あなたに伝えたいことがたくさんあるの。
そして、あなたとお友達の毎日が、これからもずっと幸せであってほしいって、心から願ってる。
そして、キャバリアが大好きなあなたにこの想いが届けばいいなって思ってる。
リアより


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