「あれ、わたし、ちょっと変わってきたかも…」
そんなふうに感じはじめたのは、いつからだったかな。階段をのぼるときに「よいしょ」って声が出ちゃうようになった頃?それとも、お気に入りだったソファにひとっ跳びできなくなったときかな。
わたし、キャバリアのリア。14歳の女の子。人間でいえば、もうおばあちゃんの域って言われることもあるけど、自分ではあんまりそんな気してなかったの。でもね、ある日ふと、「あれ?これってもしかして“年をとった”ってこと?」って思うようになったんだ。
昔は、朝になると元気にパパを起こしに行って、階段だってぴょんぴょん降りてたし、ごはんの前はわくわくが止まらなくてぐるぐる走ってた。
それが今では、朝はふとんから出るのがちょっと億劫で、「あと5分だけ…」って思っちゃうし、ごはんの匂いは嬉しいけど、食べるスピードもゆっくりになった気がする。
でもね、変わったのは体だけじゃないの。心も、なんだか前とはちがうの。前は、だれかが帰ってくるとしっぽをぶんぶん振って玄関までダッシュしてたけど、今は「気づいてるけど、動くのめんどくさいな…」って思うこともあるんだ。
それからね、パパがちょっと長くお出かけすると、なんだかすごく不安になっちゃって、ひとりぼっちがさみしくてたまらなくなるときもある。「年をとる」っていうのは、ただ体が衰えることじゃないんだね。
眠る時間がふえて、ごはんも少しずつしか食べられなくなって、それだけじゃなくて、気持ちの波もふえてきたり、家族にもっと寄りかかりたくなったり、ね。
そんなふうに、体も心も少しずつ変わっていくものなんだって、14歳になってようやくわかった気がするの。
あなたのまわりにも、わたしと似たようなことを感じてるワンちゃんっているかな?「最近、階段を嫌がるようになったな」とか、「ちょっと頑固になってきたかも」とか、「夜鳴きがふえた気がする」とか、そんな小さな変化が、じつは老いのサインかもしれない。
でも安心してね。わたしは今も、大好きなパパのひざの上でぬくぬくしながら、幸せだってちゃんと思えるの。年を重ねても、毎日を穏やかに、やさしく過ごすことはできるんだよ。
今日は、そんな14歳のわたしが感じた身体と心の変化を、ありのままにお話ししようと思うの。
これを読んでくれたあなたが、「うちの子もそうだった!」って思ってくれたらうれしいし、もしまだ気づいていなかった変化があれば、少しでも早く気づいてあげられるきっかけになればいいなって思うんだ。
さあ、それじゃあリアの本音トーク、始めるね。
「あれ?わたし、年とったかも…」って気づいた日
その日は、ちょっとだけ変だったの。いつもの朝、パパが「リア〜、ごはんだよ〜」って呼んでくれたのに、わたし、ベッドから出る気になれなかった。
パパの声は大好き。いつもなら、ぴょこんって起き上がって、しっぽをぶんぶん振りながらダッシュでキッチンに向かうの。でもその朝は、「うん、あとででいいや…」って、ふとんの中にくるまったまま、目だけでパパの顔を見たの。
そのとき、パパが「ん?リア、どうした?具合悪いのか?」ってちょっと心配そうな顔をした。でも、体調が悪いわけじゃない。痛いところもないし、おなかも空いてるの。だけどね、なんとなく、動きたくなかったんだ。
あのとき、なんとも言えない気持ちが心の中に浮かんできたの。「わたし、もしかして年をとったのかな?」って。
わたし、家族と暮らしていて、特にパパとはいつも一緒。パパがいると安心するし、気持ちも落ち着く。そんなわたしが、朝ごはんよりふとんを選ぶなんて…昔の自分なら絶対考えられなかった。
おうちの中を走り回ることもあったし、おもちゃをブンブン振り回して遊んでた日もあった。ベランダのドアが開いたら一目散に飛び出して、風のにおいをくんくんしてた。
それが最近は、おもちゃを持ってこられても、「あとでいいかな…」って思うことが増えてきた。
お昼のお散歩も、前はマンションのエレベーターが開くのを待ちきれなくてピョンピョンしてたのに、今ではママに「リア、歩こう?」って促されるまで、のんびりリードの前で待ってることもある。
お外のにおいは好きだし、お日さまも気持ちいいけど、長く歩くのがちょっとしんどいって思う日もあるんだ。
そういえば最近、夜も早めに眠くなっちゃうし、夢の中でパパの声が聞こえた気がして、うれしくて涙が出そうになることもある。甘えん坊なのは昔からだけど、最近はもっともっとパパにくっついていたいって思うの。そうしてると安心できるから。
でもそれって、体の変化だけじゃない気がする。気持ちも、前とはちょっとちがう。なんていうのかな。「ひとりでがんばる」のを、少しずつやめたくなったというか、「誰かのそばでゆったりする」ことが、いちばんの幸せになってきた、そんな感じ。
「リア、前よりちょっと落ち着いたね」ってパパが笑うたびに、「うん、それが今のわたしなんだ」って心の中でうなずいてるの。
最初はね、「こんなに動けなくなって、わたしってもう終わりなのかな」って、ちょっぴり落ち込んだんだ。でも、今はちがうよ。わたし、まだまだ生きてるし、毎日ちゃんと幸せなんだ。
歩くペースがゆっくりになっても、ごはんを残す日があっても、誰かのそばで眠る時間がふえても、ね。それが今のリアなんだよ。
もしかして、あなたの近くにも最近ちょっと変わってきた子がいるのかな?ベッドから出るのがゆっくりになったり、お散歩コースを短くしたがったり、やたら甘えてきたりしてない?
そんなとき、「あれ?おかしいな」って思うんじゃなくて、「そうか、年齢を重ねてきたんだな」って受け止めてくれたら、わたしたちもきっと安心すると思うの。わたしたちシニア犬は、年をとった分だけ、家族との絆を深く感じてるんだから。
リアが感じた身体と心の変化とサイン
「年をとると、いろんなことが変わるんだね」って、最近ほんとに実感してるんだ。14歳になってからのわたし、ちょっと前とはぜんぜんちがうんだよ。今日はね、その“ちがい”をひとつひとつ、リアルにお話しするね。「もしかして、うちの子も…?」って思ったら、ぜひ参考にしてみてほしいな。
① 朝起きるのがちょっとおそくなった
前は、パパがちょっとでもゴソゴソって動いたら、「起きた!ごはんだ!」って即座に目を覚まして、寝室のドアの前でぴょんぴょんしてたの。でも最近は、起きようと思えない日があるんだよね。
ふとんの中があったかくて、体を動かすのが面倒って思う日もあるし、「ごはんの時間、ちょっとだけ後でもいいかな」って思っちゃう。パパがキッチンから呼んでくれても、耳は聞こえてるんだけど、返事は心の中だけ(笑)
こういう変化、最初は「怠けてるだけかな?」って思われがちだけど、実は筋力や関節の衰え、体温調整の苦手さ、軽い認知機能の変化も関係してるかもしれないんだって、先生が言ってた。
② ごはんの食べ方がゆっくり&ムラっけあり
わたし、食いしん坊キャバリアだったの。ごはんの音が聞こえた瞬間から、しっぽぶんぶんでスタンバイしてたし、早食い防止ボウルでも関係なしに秒速で完食。でも今はちがう。
まずにおいを確認して、「うーん、今日は気分じゃないな」って顔をする日が出てきたの。しかも、一度食べはじめても途中でお皿から離れちゃうこともある。パパが「リア?どうした?」って心配そうにのぞき込んでくるんだけど、わたし的には「ちょっと気持ちがのらなかっただけ」なんだよね。
でもこれも、消化機能の低下や味覚の変化、食欲に波が出るシニア期特有のサインなんだって。
③ お散歩は「好き」だけど「無理はしない」
お散歩は今も大好きだよ。でも、前みたいに「もっと歩きたい!」ってグイグイ行くより、「今日はここの角まででいいや」っていう日がふえたの。暑い日や風の強い日は特にそう。
そして、歩く速度もゆっくりに。「リア、今日はスローペースだね」ってパパが言うと、わたし、ニッコリするんだ。だって、無理にがんばらなくていいってわかってるから。
これは関節のこわばりや心臓への負担を感じている可能性もあるって、先生が教えてくれたよ。
④ ちょっとしたことで不安になりやすい
これはね、体のことよりも心の変化かもしれないんだけど、前はひとりでお留守番しても平気だったのに、最近はパパがちょっと長めに外出すると、そわそわして、時計の音にびくってしたり、玄関の方ばかり見ちゃったりするの。
夜も、ときどき変な夢を見て、「きゅんきゅん」って寝言を言っちゃうことも。パパがそっと声をかけてくれると、安心してまた眠れるんだよ。
シニア犬って、情緒が敏感になるんだって。環境の変化に弱くなったり、音やにおいに過敏になったり、ちょっとしたことで不安になったりするの。
⑤ 甘えん坊がさらに加速
もともと甘えん坊だったけど、今ではもう、「ずーっとパパのそばにいたい!」モードが炸裂中。ソファに座るとすぐぴとってくっつくし、キッチンに行くときも後ろをトコトコついていくし、寝るときも「ひざの上が定位置です!」って顔して座ってるの(笑)
これも「年をとったサイン」かもしれないって聞いて、ちょっとびっくりした。家族に対する依存度が高まる=安心を求める本能的な反応なんだって。
でもパパは「かわいいなあ〜、リア。もっとくっついてていいよ」って言ってくれるから、わたしは幸せ。
こうしてひとつひとつ書き出してみると、「変わったなあ」って思うこと、ほんとに多いよね。でもね、全部がネガティブなことじゃないんだ。変化って、こわいものじゃなくて、新しいわたしに気づくサインなんだって思うようになったの。
もしあなたのワンちゃんにも、似たようなサインが出てたら、ぜひ気づいてあげてね。そして、その子のペースを大事にしてあげてほしいな。わたしたち、ゆっくりだけど、ちゃんと毎日を味わって生きてるから。
わたしたちシニア犬と向き合う暮らしのヒント
「年をとる」って、言葉にするとちょっぴりさみしい響きがあるよね。でも、わたし自身が14歳になって思うの。年を重ねることって、じつは愛し方が深まるチャンスでもあるんだってね。
ここでは、そんなわたしリアから、シニア犬と暮らすなら、ぜひ伝えたいことがあるんだ。ここからは、シニア犬が近くにいるなら、大切にしてほしいことやすぐにできることを、ゆっくり話していくね。
いつもとちがうことに気づくことから始めて
まずいちばん大事なのは、小さな変化を見逃さないこと。
わたしたちシニア犬は、自分の不調をうまく伝えられないことが多いの。「今日は歩きたがらないな」「ごはんの食べ方にムラがあるな」そんないつもとのちがいを、どうか気づいてあげてほしいな。
それが、「気づいてくれてる」っていう安心につながるし、もし病気のサインだったら、早く対応できるかもしれないからね。
いまのわたしに合わせたペースで過ごしてほしい
若いころのように、長いお散歩や元気な遊びができなくなっても、それは「できなくなった」のではなくて、「ちがう楽しみ方に変わった」ってことだと思うの。
わたしは今、パパのひざの上でうとうとする時間が一番好き。お散歩も、短くてもいいの。風のにおいや季節の音を感じるだけで、十分幸せなの。だから、「もっと歩かせないと」とか「昔みたいに遊ばせないと」って無理に思わないでね。
今のわたしたちは、静かな幸せを楽しむ時期にいるんだと思うの。
医療とのつながりを大切に
わたしは僧帽弁閉鎖不全症っていう心臓病のお薬を飲んでるんだけど、パパとママがしっかりお医者さんと連携してくれてるから、安心して暮らせてる。
病気のあるなしにかかわらず、定期的な健康チェックや相談はとても大事。病気を見つけるだけじゃなくて、今の体の状態を知るってことが、これからの毎日に必要なケアにつながると思うんだ。
多少お金がかかることもあるけれど、そこはよろしくお願い、ね。
もう年だからじゃなくて、今も愛おしいって伝えてほしい
わたしたちシニア犬がいちばんうれしい言葉、それは「かわいいね」「大好きだよ」っていう、変わらない愛の言葉だと思うの。
白髪が増えても、動きがゆっくりになっても、お口のにおいが少ししても(笑)、
わたしたちはあなたのそばにいるだけで、うれしいんだよ。
だから、「もう年だからしょうがないよね」と思わずに、「今もかわいい」「今のあなたが最高」って言ってくれたら、それが最高のごほうびなんだ。
どうか、さみしさを先に抱えすぎないで
これは、ちょっと勇気を出して言うね。
シニア犬と暮らすなかで、どうしても心のどこかに「いなくなる日」のことがよぎることがあると思う。でも、わたしたちはそんな未来じゃなくてね、今を生きてるんだよ。今日の空、今日のにおい、今日のパパの笑顔が見られることが、何よりの幸せなの。
だからお願い。さきに悲しみを抱えるんじゃなくて、今そばにいるわたしを、まるごと抱きしめてほしいんだ。
14歳になったわたしは、きっと年をとった犬って思われる存在だよね。でもね、わたしの心は、今がいちばん穏やかで、今がいちばん愛に満ちてるって感じてるの。
若いころみたいに走り回らなくてもいいんだ。パパの足元でうとうとしたり、家族の声を聞きながら眠ったり、そんな時間が愛おしくてたまらないんだから。
だから、どうか焦らないでほしいんだ。「まだまだ一緒にいたい」って気持ちは、わたしたちシニア犬だって同じなんだからね。その気持ちを、毎日の中で少しずつ伝え合えたら、それがきっといちばんの幸せになるよ。
リアより
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