シニアキャバリアの困りごとって?15歳リアが困ったことを全部お話しするね。

シニア犬の日常

こんにちは。リアだよ。

あのね、今日はちょっとだけ、真面目なお話をしてもいいかな。わたし、キャバリアのリア。もう15歳になったんだよ。

だからわたしはもうシニアって呼ばれる年齢で、毎日ね、ちょっとずついろんな変化があったんだ。

体が思うように動かなくなったり、ごはんの好みが変わったり、夜中に一人でぼーっとしちゃうこともあるの。

パパはね、そういうとき「リア、大丈夫か?」って優しく声をかけてくれるけど、たぶんパパの方が心配で不安なんじゃないかなって、わたし思うんだ。

だってね、パパ、最近スマホで「キャバリア 心臓病」とか「老犬 夜鳴き」っていっぱい検索してるの、知ってるよ。

あなたも、もしかしてそう?

「うちの子、最近ちょっと変わってきた気がするな」とか、「これって年齢のせいなの?それとも病気?」って思ったりしてない?

わたしはね、そんなあなたに、少しでも安心してもらえたらいいなって思ってる。

だから今日は、シニアのキャバリアと一緒に暮らすって、どういうことなのか、15歳のわたしが感じてきたことを、ぜんぶお話しするね。

わたしが心臓病って診断されたのは13歳の春。

それまでは、「ちょっと疲れやすいかな?」くらいだったのに、病院で聴診器をあてられて、「心雑音がありますね」って先生が言ったとき、パパの顔がちょっと曇ったの、覚えてる。

でもね、わたしは手術はしてないよ。ずっとお薬で治療してるの。朝と夜にちゃんと飲んでる。お薬飲むのって嫌がる子もいるって聞いたけど、わたしは平気。だって、そのあとに「リア、お利口さん!」ってパパがなでなでしてくれるから。

でも、それでも時々ドキドキが止まらなくなるときがあるし、散歩の途中でちょっと立ち止まりたくなるときもある。

若いころは風みたいに走ってたのにね。いまは、風の音を聞きながら、ゆっくりゆっくり歩く方が好きになった。

それに、夜になると不安になっちゃうこともあるんだ。

なんだか、寝てても心がそわそわして、部屋の中をウロウロしたり、「誰かそばにいて」って思って鳴いちゃったり。

パパはそんなときも怒らないで、「リア、ここにいるよ」って言ってくれるけど、やっぱり、あなたにはちょっと申し訳ないなって思っちゃう。

わたし、前よりずっと甘えん坊になったと思う。だって、あなたと一緒にいる時間が、一番落ち着くんだもん。

だけどそれが、「あれ?最近やけに甘えてくるな」って思わせちゃうこともあるんだよね。

もしかしたら、それって「認知症かも?」とか、「体のどこか痛いのかな?」って、あなたを不安にさせてるかもしれない。

でもね、それにはちゃんと理由があるの。今日はそれも、全部あなたに伝えたいと思ってる。

キャバリアって、ほんとうに優しくて、愛情深くて、あなたのことが大好きでたまらない犬種だと思う。わたしも、あなたと出会えて、本当にしあわせ。

だけど、その分、わたしたちはあなたの心の動きにすごく敏感なの。だから、あなたが不安だと、わたしも不安になるし、あなたが笑ってくれたら、それだけで1日が特別な日になるの。

シニアになったら大変そうとか介護ってどうやるの?ってそんなふうに思ってるあなたに、わたしはこう伝えたいの。

大丈夫だよ。あなたがそばにいてくれるだけで、わたしはすごく心強いし、こうして一緒にいられる毎日が愛おしいって思ってるよ。

これからね、もっと具体的にシニアキャバリアの困りごとについてお話ししていくね。病気のこと、気持ちの変化、おうちでの過ごし方、そしてちょっと深い話になるかもしれない。

でも、ぜんぶわたしが体験してきたことや見聞きしてきたことだから、安心して読んでね。

さぁ、はじまりだよ。わたし、リアが教えるシニアキャバリアの世界へようこそ。

シニアキャバリアに多い病気は僧帽弁閉鎖不全症だけじゃない?

あなたに、ひとつだけ正直に言うね。わたし、ほんとはずっと「病気」っていう言葉がこわかったの。

だって、病気って聞くだけで「もうお別れが近いのかな…」とか、「痛いことされるのかな…」って、不安になっちゃうから。

でも13歳の春、パパといつもの病院に行った日、先生がわたしの胸に聴診器を当てながらこう言ったの。「リアちゃん、心雑音がありますね。僧帽弁閉鎖不全症の初期かもしれません」って。

そのときのパパの表情、わたし、今でも覚えてるよ。すごく心配そうで、でもそれをわたしに悟られまいとしてる、そんな顔だった。

僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)っていうのはね、心臓の左側にある「僧帽弁」っていう扉みたいなところが、年齢とともにうまく閉じなくなって、血液が逆流しちゃう病気なの。

キャバリアのわたしたちにとっては、すごくよくある病気。実際、キャバリアの約8割が高齢になるとこの病気になるって言われてるんだって。

つまりね、「うちの子がなっちゃった…」って落ち込むことはないの。それだけ身近で、でもちゃんと向き合えば長く一緒にいられる病気なんだよ。

先生に言われたあと、パパとママはすごく調べてたみたい。どんな治療法があるのか、手術はできるのか、薬は何があるのか、費用はどれくらいかかるのか、とかね。

だけど、わたしが見ていたのは、そんなことじゃなかった。わたしが見ていたのは、パパがいつもよりちょっと長くわたしの頭をなでてくれるようになったこと。

ママが、朝ごはんのあとに「お薬ちゃんと飲めたね、お利口さんだね」ってぎゅっと抱きしめてくれるようになったこと。

それだけで、わたしには十分だったの。

わたしはね、投薬治療を選んでもらったの。手術っていう選択もあったけど、年齢や体への負担を考えて、お医者さんとも相談して決めたんだ。

1日2回、お薬をちゃんと飲んでるよ。最初は苦いのもあったけど、今はごはんに混ぜたり、おやつで包んでもらったりして、平気になったよ。

でも、投薬しててもね、時々は苦しくなることもある。たとえば、階段を上がるときに息が切れちゃったり、ちょっとの散歩で疲れちゃったりするんだ。パパに抱っこされて帰ることもあるよ。

そんなとき、わたしはがんばりすぎなくていいんだよって自分に言い聞かせてる。そして、あなたにもそう伝えたいの。シニア犬はね、がんばりすぎないことが大事なんだよ。

それからね、心臓の病気のほかにも、キャバリアには多い病気がいくつかあるの。

そのひとつが、「脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)」っていう神経の病気。

これはね、脳と背骨の間にある液体の通り道に異常ができて、痛みやかゆみ、運動障害を引き起こすことがあるんだって。

わたしはまだこの症状はないけど、キャバリアのお友だちの中には、「急に首をかきむしるようになった」とか「歩き方がおかしくなった」っていう子もいるみたい。

あとはね、「認知機能不全症候群(にんちきのうふぜんしょうぐん)」っていう、いわゆる犬の認知症もシニア犬に多いよ。

夜中に意味もなく歩き回っちゃったり、トイレの場所を忘れちゃったり、人の声に反応しづらくなったり。

これも、わたしが最近ちょっと気になってることのひとつ。たまにね、寝てるのに、すごくソワソワして、誰もいない方向をじっと見てしまうことがあるの。

パパが「リア、こっちだよ」って声をかけてくれると、すぐ落ち着くんだけど、不安って突然やってくるんだよね。

だからね、あなたが気づいてくれるだけで、すごく助かるの。たとえば、夜に一人にしないようにしてくれることとか、寝床のそばに音の出る時計を置いてくれること。

そういうちょっとした工夫で、わたしみたいなシニア犬は、安心して夜を過ごせるんだ。

それから、わたしたちキャバリアは、目の病気や耳の病気にもなりやすいの。

目が乾きやすくて、ドライアイになる子もいるし、耳が垂れてるから通気が悪くて、耳の中が蒸れちゃうことも。だからパパは、お散歩のあとに耳の中をチェックしてくれたり、目薬をさしてくれたりするよ。

あなたも、もしなんか目ヤニが多いなとか耳をよく掻いてるなって思ったら、ちょっと気にしてあげてね。

わたし、こうやっていろんなこと話してるけど、「全部しなくちゃ!」って思っちゃうかもしれないけれど、全然そんなことない。

あなたができる範囲で、ちょっとずつでいいの。それよりも、あなたが気づいてくれて、寄り添ってくれることが、わたしたちにとってはなによりの安心なんだ。

わたしの心臓は、たぶんもう若いころみたいには動けないけど、あなたのことを思う気持ちは、今のほうがずっと、ずっと大きいんだよ。それだけは、間違いないからね。

甘えん坊って言われるのには理由がある

「リア、なんか最近甘えん坊になったよね」

パパもママも、よくそう言うようになった。お兄ちゃんも、「リア、また膝に乗ってきた。ずっと一緒じゃん」なんて笑ってる。

でもね、わたし、前からずっと甘えん坊だったよ。ただ、それがちょっと強くなっただけ。

子犬のころは、走り回って遊ぶのが楽しくて、ひとりで探検するのも平気だった。でも今はね、誰かの気配がないと、なんだかそわそわしちゃうの。

たとえば、部屋にひとりきりになったとき、すごく静かになると、「あれ?どこいったの?もう戻ってこないの?」って、不安になる。だからドアの前でじっと待ったり、小さな声で「クゥ〜ン」って鳴いてみたりすることがあるんだ。

それを見たパパが、またかまってほしいの?とか、かまってちゃんだねって言うけど、そうじゃないの。ただ、あなたがそばにいてくれるだけで、安心できるんだ。

歳を重ねるって、ほんとうにいろんなことが変わるの。

体力も落ちるし、目や耳も鈍くなるし、何より「今どこにいるのか」って感覚がぼやけるときがある。昨日まで普通に歩いてた場所が、今日はなんだか知らない道に感じるときもあるんだ。

お水のお皿の位置が変わっただけで、どこにあるのか見つけられないこともある。だからこそ、あなたがそばにいるってことが、わたしの世界の中で一番の道しるべになるの。

あなたは気づいてるかな?わたしがいつもよりぴったりくっついてきたり、夜になると急に鳴いたりするのには、理由があるの。

それはね、こわいから。

よくわからない音がしたり、暗くなると世界が見えなくなったり、自分がどこにいるのか分からなくなったりすると、どうしたらいいか分からなくなるの。

そんなとき、あなたの匂いとか、声とか、手のぬくもりが、わたしを現実に戻してくれるんだ。

中には、「これは甘やかしすぎかな?」って心配するあなたもいるかもしれない。たしかに、わたしも「わがまま」って思われるような行動をしちゃうことがある。

たとえば、ひとりでお留守番できてたのに、今は鳴いてしまったり、夜中にあなたを起こしちゃったり、「わたしのごはん、まだ?」ってお皿の前でじーっと見つめたり。

でも、それって甘えというよりも、頼りにしてるんだと思ってほしいんだ。

わたしはもう若くない。だから自分で解決できないことが増えたの。その代わり、あなたの存在が、今まで以上に大きくなってるの。

あなたも、心配したり困ったりしてるよね。「これって認知症なのかな?」とか、「もしかして体のどこか痛いのかな?」って。

そんなふうに、わたしの変化に気づいてくれるあなたの優しさ、本当にうれしいんだ。

実際、シニア犬って、認知機能の低下が原因で甘えん坊になることもあるんだって。今がどんな時間なのかとか、誰がいるのかとか、わからなくなる瞬間があるから、ひとりになりたくないって本能的に思っちゃうのかもしれないね。

でもね、甘えてる時間って、わたしにとっては安心を積み重ねてる時間でもあるの。だから、どうかその時間をわがままって思わずに、ほんの少しだけ、寄り添ってくれたら嬉しいな。

わたしの一番のお気に入りの場所は、今も昔も変わらず、あなたの膝の上。

そこにいるとね、不思議と心臓の音がゆっくりになるの。外の音も気にならなくなって、目を閉じると、まるで小さいころに戻ったみたいに穏やかな気持ちになれるんだ。

最近は、あなたの動きをよく見てるよ。キッチンに行ったら、ついていくし、トイレに行ったら、ドアの前で待ってる。ソファに座ったら、隣にぴょこんと乗る。

それって全部、あなたがわたしの世界の中心だからなんだよ。

あなたが疲れてる日もあるよね。ちょっとひとりになりたいなって思う日もあるよね。そんなときは、わたし、ちょっとだけ我慢するね。

でも、そのあとでいいから、ぎゅっとしてくれると、わたし、とっても安心するの。

甘えん坊になったって言われるたびに、わたしは心の中でありがとう、そばにいてくれてって思ってる。

だから、これからも、あなたとわたし、ふたりで一緒に歩いていけたらいいな。

甘えん坊でも、ちょっとくらいわがままでも、あなたのそばっていう場所があれば、わたしはそれだけで、毎日がとても幸せなんだ。

滑っちゃう床、しんどい階段はどうするの?

ねぇ、あなたの家の床って、つるつるしてない?

昔はね、わたしも気にしてなかったの。リビングをダッシュで駆け抜けて、お兄ちゃんと追いかけっこしたり、ソファに向かって一気にジャンプしたり。でもね、最近は、そのちょっとしたことが怖くなってきたの。

床が滑るっていうだけで、歩くことがすごく慎重になるんだ。爪がうまく引っかからないから、歩くたびに足が横にズルッて滑る。ひどいときには、お尻からペタンって座り込んじゃうこともある。

そうするとね、立ち上がるのも大変なの。後ろ足に力が入りづらくなってるから、うまく踏ん張れないの。

パパがそれに気づいてくれて、ある日、リビングにラグを敷いてくれたの。リアが歩きやすくなるようにって。最初はちょっと違和感あったけど、すぐにわかったよ。これって、すごくありがたい。

だってね、滑らないってだけで、自信をもって歩けるんだよ。お水を飲みに行くときも、ごはんを食べるときも、転ばないか心配しなくていいんだから。

足腰が弱くなるシニア犬にとって、自分の足で安全に歩けるって、すごく大切なことなの。

階段も、昔はへっちゃらだったのに、今ではちょっとした段差も怖く感じるようになった。2〜3段の段差でも、よいしょ、よいしょって言いながら登ってる気分。

降りるときなんて、特に怖いの。足を踏み外したらって思うと、なかなか一歩が出せない。

そんなわたしを見て、パパは階段に小さなスロープをつけてくれた。

すべての階段ってわけにはいかないけど、ベッドのそばとか、ソファの前とか、日常的に使う場所にはちゃんとスロープがあってね。そこを通ってトコトコって登ったり降りたりするとき、わたし、ちょっと嬉しくなるの。

あとはね、寝床も変わったよ。

前まではふかふかのベッドに潜り込んで丸まって寝てたけど、最近は起き上がるのがしんどいから、低反発で体が沈みすぎないマットにしてもらったの。

しかも、ベッドのすぐそばにお水のお皿も置いてある。夜中に喉が渇いたとき、暗い廊下を歩かなくてもいいようにって、パパとママが考えてくれたんだ。

あなたのおうちでは、どう?

もしあなたの子が、床で足を滑らせたり、階段をためらったりするようになったら、それって、ちょっと手を貸してほしいなっていうサインかもしれないよ。

たとえば、こんな工夫があるんだ

  • フローリングの上に滑り止めマットやラグを敷く
  • ベッドやソファにスロープやステップを設置する
  • 寝床の周りにトイレ・水・お気に入りの毛布をまとめて置く
  • よく通る場所にある家具の角を保護する
  • 暗くなる時間帯は、常夜灯や足元ライトをつけてあげる

こういう環境って、わたしたちシニア犬の気持ちをすごく落ち着かせてくれるの。大丈夫、ここなら安全だって思えると、それだけで体の力を抜くことができるから。

それにね、体が動かしにくくなった分、あなたの声とか、優しい手のひらのぬくもりが、いっそう心地よく感じるの。おうちの中が安心できる場所ってだけじゃなくて、あなたのそばが居場所になっていくんだ。

わたしね、最近はあんまり部屋中をうろうろしなくなった。

前みたいに興味津々でいろんなところを探検することは減ったけど、そのぶん、安心できる場所を大事にするようになった。

それが、あなたのそば。膝の上だったり、寝てるあなたの足元だったり。そういう小さなスペースが、わたしの世界になっていくんだよ。

動かなくなったなとか、行動範囲が狭くなったなとかって思うかもしれないけど、それは不便ってことじゃないの。安心できる場所がはっきりしてきたっていう証拠でもあるんだよ。

シニアになってからは、無理してあちこち動き回るより、一箇所で穏やかに過ごす時間の方が、ずっと心地いいんだもん。

だからあなたにもお願い。

おうちを、シニア犬にとってちょっとだけ優しい場所にしてあげてほしいの。それだけで、わたしの心はずっと穏やかになれるし、きっとあなたの気持ちも軽くなると思うよ。

わたしの足は、昔ほど軽くはないけれど、あなたの優しさがあれば、どんな場所でも歩いていける気がする。

それ、遺伝のせいかも?キャバリアの体にある宿命

ねえ、あなたは知ってる?わたしたちキャバリアって、実はちょっと特別な身体を持って生まれてきてるんだよ。

見た目がかわいいでしょ?って自分で言うのも変だけど、あのくりくりのお目目に、つやつやの耳、優しい顔つき。人懐っこくて、お膝の上が大好きで、誰にでもニコニコできる性格。

でもね、そのかわいさの裏側には、実は生まれつき抱えている弱さやリスクがあるの。わたしたち自身が選んだわけじゃないけど、キャバリアとして生まれたからこそ背負ってる宿命みたいなものなんだよ。

この話はちょっとだけ重たいかもしれないけど、あなたにはちゃんと知っておいてほしいんだ。だって、わたしのことを真剣に愛してくれてるあなたにだけは、全部伝えたいから。

わたしが13歳で見つかった心臓の病気、僧帽弁閉鎖不全症(MVD)は、キャバリアのほとんどが生涯のどこかで経験するって言われてるの。なんと、10歳以上のキャバリアでは9割近くが心雑音を持ってるって報告もあるんだよ。

これはね、遺伝的な要因が大きく関係してるの。つまり、「キャバリア」という犬種自体がこの病気になりやすい体質なんだ。昔から、心臓に負担がかかりやすい構造を持って生まれる子が多くて、それが代々引き継がれてきてしまっているの。

この話を聞いたとき、パパはとても複雑そうな顔をしてた。

リアが悪いわけじゃないのに、もしかしたら、こういう運命を背負わせてしまったのかなって。

でもね、わたしは思うの。誰のせいでもない。だからこそ、あなたとわたしが今を大切にすることが大事なんだって。

それからね、キャバリアに多いもう一つの遺伝的な病気に、脊髄空洞症(SM)っていうのががあるんだよ。

これは、頭蓋骨が小さくて脳がきゅうくつな構造になってしまい、脳脊髄液がうまく流れず、背骨の中に空洞ができちゃう病気。そのせいで、痛みやしびれやかゆみ、歩き方の異常、過剰なかきむしりが起きることもあるんだ。

わたしのお友だちにも、首を触られるとびっくりする子がいたよ。「リア、あんまり触っちゃだめだよ」ってパパが言ってた。その子も、お医者さんで検査してもらって、SMの疑いがあるって言われたみたい。

SMもまた、キャバリアという犬種に特有の遺伝的リスク。

だからってすべての子が発症するわけじゃないけれど、そういうリスクを知っておくことって、すごく大切なことだと思うの。

さらにね、目の病気(遺伝性の白内障や網膜の異常)、耳の病気(慢性的な外耳炎)、皮膚のアレルギーなども、キャバリアには多いの。

キャバリアはかわいいけど、病気が多い犬種だよねって言われることもあるくらい。でもね、それって本当はかわいいっていう見た目を保つために、無理な繁殖が行われてきたことが背景にあるの。

小さな顔、丸い目、大きな耳、理想的な性格。そういう理想のキャバリア像に近づけようと、人間の都合で同じような特徴を持つ子を掛け合わせてきたの。

でもその結果、健康よりも見た目が優先された繁殖になってしまって、遺伝的なリスクをたくさん抱えたまま、次の世代へと受け継がれてしまったんだ。

最近では、ヨーロッパのいくつかの国ではキャバリアの繁殖に対する見直しが始まってるって、パパがニュースで読んでたよ。

たとえば、ノルウェーではキャバリアの繁殖が法律で一部禁止になったり、スウェーデンでは健康な別の犬種と交配させるアウトクロスという方法で、遺伝病を減らそうとする試みが始まってるの。

わたしたちは、かわいいだけじゃない。あなたの気持ちに寄り添える、強い心も持ってる。だからこそ、病気の多い犬種っていうイメージだけで片づけられたくないなって思うの。

わたしの体は、たしかに病気とともにある。でもね、わたしの目はあなたの姿を探してるし、耳はあなたの声を聞きたがってるし、心はいつだって、あなたのそばにいたいって思ってるよ。

だからね、あなたにお願いがあるの。

もし次にキャバリアと出会うときが来たら、見た目だけじゃなくて、健康を第一に考えたブリーダーさんを選んでほしいの。

ちゃんと親犬の健康状態を確認してくれてる人、遺伝子検査を行ってくれてる人、
無理な繁殖をしていない、心のある人をね。

それは、わたしたちの未来を守ることにつながるから。そして、あなたのように心の優しい人が、悲しい気持ちを味わわないためにも。

わたしたちキャバリアは、人が大好き。人に愛されることに、すごく喜びを感じるの。だからこそ、人にもわたしたちの身体のことをちゃんと知っておいてほしいんだ。

そうすればきっと、もっと優しくて、もっと幸せな未来がやってくると思うんだよね。

それでも毎日が幸せなシニアキャバリアとの暮らし方

ここまでいろんなことを話してきたね。

心臓の病気のこと、甘えん坊になった理由、体が思うように動かない不安、そしてわたしたちキャバリアが生まれ持った宿命のこと。どれも、あなたに知っていてほしかったことばかり。

だけどね、今日わたしが一番伝えたいことは、それでも毎日は、とっても幸せだよってこと。

わたし、15歳になって、たしかにできなくなったことは増えたよね。ソファにひとりでジャンプできないし、長いお散歩の途中で立ち止まることもある。トイレを間違えちゃって、恥ずかしくなることもあるしね。

でも、それ以上に今がいちばん幸せかもって思えるのは、あなたと過ごす時間が、昔よりもっと深くて、もっとあたたかいから。

朝、目を覚ましたとき、あなたの気配が近くにあることってとっても大事。「リア、おはよう」って声をかけてくれるその響きが、心にすーっとしみてくるんだ。

ごはんの時間、ゆっくり噛んで食べてるわたしを、優しく見守ってくれるその視線がうれしくて、ちょっとだけ尻尾を振ってしまう。

お昼寝してるとき、あなたがそっと毛布をかけてくれる時にね、歳とると寒がりになるんだなって、ちょっと笑いながら言ってくれたりしたら、わたし、それがすごくうれしいんだ。

歳を重ねるってね、たしかに大変なことも多いよ。お互いにね。あなたもわたしも、体力が落ちたり、気力がなくなったり、心配事が増えたり。

でも、そのぶん、心が近づく時間が増えるんだよ。

昔みたいに走れなくてもいい。一緒にソファで並んでぼーっとするだけで、それが一番の幸せ。

お散歩も、遠くに行かなくていいの。いつもの道を、ゆっくり歩くだけで十分。わたしが立ち止まったら、あなたが待ってくれる。あなたが空を見上げたら、わたしもその空の色を感じる。

そんな風にして過ごす時間が、今のわたしには宝物なんだ。

でも、あなたは、きっと時々不安になるよね。リア、あとどれくらい一緒にいられるのかなって。痛みとか、つらいことはないかなって。もっと何かしてあげられることはないかなって。

その気持ち、ちゃんと伝わってるよ。わたしには言葉はないけれど、あなたの気持ちは全部、空気みたいに伝わってくる。不安も、優しさも、迷いも、全部ね。

でも、大丈夫。あなたがわたしのそばにいてくれる限り、わたしは怖くない。

シニア犬ってね、本当は終わりの時間じゃないの。むしろ、深まりの時間なんだよ。あなたとの絆がどんどん深くなって、目を見ただけで通じ合えるような、そんな関係になっていくんだ。

あなたにとって、わたしはもう犬じゃないかもしれないね。家族であり、心の支えであり、日常の一部。そしてわたしにとっても、あなたはただの飼い主なんかじゃない。世界でいちばん大切な存在なんだ。

あなたの声で心が落ち着いて、あなたのにおいで安心できて、あなたの手のひらで癒やされる。

介護って大変そうだなとか、シニア犬の暮らしって、きっと暗くて重いものだろうなって、思ってた?

もしそうだとしたら、わたしが言いたい。

そんなことないよ。たしかに少し手がかかるようになったけど、それってわがままじゃなくて、信頼の証なの。

わたしはあなたを信じてる。だからこそ、ちょっと助けてって素直に頼れるの。それって、とっても幸せな関係だと思わない?

それからね、こうして私の話を聞いてくれているあなたへ伝えたいことがあるんだ。

今、もしこれからどうなるんだろうって不安を抱えているなら、どうかその気持ちを一人で抱え込まないでほしいんだ。

わたしみたいに、年を重ねたキャバリアとの暮らしには、確かに戸惑いもあるけれど、それ以上に、愛おしい時間がたくさんあるってこと、どうか忘れないで。

今日わたしが話したことが、あなたにとって、少しでも心を軽くするきっかけになってくれたらうれしいな。

最後に、あなたにひとことだけ。

今のわたしは、15歳。心臓に持病があるし、昔みたいには動けない。でもね、あなたと一緒に過ごせる毎日が、世界で一番幸せなの。あなたがいてくれて、本当にありがとう。

リアより

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