こんにちは。リアだよ。
ねぇ、最近ね、なんだか少しだけね、見えづらくなってきたの。前はさ、パパが玄関に帰ってきたとき、すぐに気づけたのに、今は匂いで「あ、帰ってきたな」ってわかるようになったんだ。
あとね、お名前呼ばれても、ちょっと反応が遅れちゃうときがあるのよ。聞こえてないわけじゃないんだけど、「あ、今の、私のこと?」って思うのに、ちょっと時間がかかっちゃうの。そんなとき、お兄ちゃんが笑って「リア、のんびりしてるなぁ」って言ってくれるの。そういうの、なんかほっとする。
私、もう15歳になったから、いろんなところが少しずつ変わってきてるみたい。視力だって聴力だって、昔みたいにシャキッとはいかないし、気づいたら寝てる時間もすっごく増えたのよね。でもね、不思議と怖くはないのよ。だって、私の毎日には家族がいるもの。
変わっていくことって、ちょっとだけさみしいけど、でも、それって終わりじゃなくて、新しい私になるってことなのかもしれないよね。今日はそんな風に、今の私、そしてシニア犬の毎日をお話ししようと思うの。きっとあなたのお友達にも、似たようなことがあるかもしれないって思うんだ。よかったら私の話、少しだけ、聞いてくれる?
見えづらさのなかで気づいたこと。視力が落ちても、感じる世界はまだまだ広いの

リア
ある日のお散歩でのことなんだけどね、いつもの道、いつもの時間、いつもの風。だけどね、ちょっと違ったの。道の端っこにあった植木に、ついぶつかっちゃったのよ。ほんのちょっとよ?でも私、自分でちょっと驚いちゃったの。前なら余裕で避けてたのに、「あれ?」って。
最初はね、たまたまだと思ってた。でもそのあとも、階段の段差に足をひっかけちゃったり、夜のお部屋で物にぶつかりそうになったり、そんなことがちょこちょこ増えてきたの。暗いところだと、とくに見えにくくて、「ここ、通って大丈夫かな?」って立ち止まることもあるの。パパが優しく声をかけてくれるのが合図みたいになっててね、「リア、こっちだよ」って。その声があると、不思議と安心するの。
そういう時、私、ちょっとだけ不安になるのよ。でもね、不思議なことも起こってるの。目が前より見えづらくなったぶん、鼻がすごく頑張ってくれてるの。お外のにおい、お友達のにおい、ごはんのにおいがね、前よりずっと鮮やかに感じるの。
特にね、パパのにおいって、どこにいてもすぐわかるのよ。お洋服についてるにおいとか、足音に混じった風の中の気配とか、そんな小さなヒントを鼻がキャッチしてる。「おかえり」って玄関に向かう頃には、もうちゃんと心の中にパパの輪郭ができてるんだ。見えなくても、そこにいるのがわかるのって、すごいでしょ?
そしてね、風の音や、足音や、私の名前を呼ぶ声。耳だけじゃなくて、空気ごと感じるようになった気がするの。この前なんて、お姉ちゃんが後ろから小声で話しかけてくれたのに、ふしぎと、あ、笑ってるなってわかったのよ。見えないものも、ちゃんと感じるってこと、今の私になってようやく気づけたの。
だからね、前より見えにくくなったってこと、ただのマイナスじゃないの。見えにくくなったからこそ、見えるようになったものもあるんだよね。感覚って、ひとつが弱っても、他の感覚がそっと支えてくれるものなのかも。
あなたのお友達も、もしかしたら同じようなことを感じてるかもしれない。ぶつかりやすくなったり、暗いところを歩きたがらなかったり、そんな小さなサインがあったら、きっと何か感じてる証拠だと思うの。そのときは、無理に引っ張ったりしないで、そっと声をかけてあげてほしいな。「こっちだよ」「大丈夫だよ」って、そう言ってもらえるだけで、安心して一歩が踏み出せるんだ。
目の前がはっきり見えなくても、私たちの世界は、まだまだ広がってるのよ。見えないぶん、もっと深く、もっとやさしく、いろんなものが感じられるんだって、私は思ってる。
お名前呼ばれてもね、ちょっと聞こえにくい日があるの。耳の変化と私なりの工夫

ねぇ、呼ばれたのに、私が振り向かなかったことって、最近あったんだ。ごめんね。聞こえなかったわけじゃないの。ただね、ちょっとだけ時間がかかる日があるのよ。
以前は、あなたの声が遠くからでもすぐにわかったの。朝起きたときの「おはよう」とか、リビングから聞こえる「リア〜ごはんだよ〜」っていう声とか。それが、最近はなんだかぼんやりしてて、「あれ?今の、私への呼びかけだったのかな?」って考えちゃうのよ。
そういうとき、少し遅れてから「ん?」って顔をあげると、パパがふふって笑うの。「リア、タイムラグあるねぇ」なんて、優しく言いながら近くまで来てくれるの。ね、ちょっとかわいいでしょ?私。
でもね、私なりにがんばってるのよ。お兄ちゃんがね、最近すっごく上手に手の合図を使ってくれるの。目が合ったときに、ひらひらって手を振ってくれると、「あ、こっちに来て」ってわかるの。声がはっきり届かない日でも、そういうジェスチャーがあるとね、私でもちゃんとあなたの気持ちがわかるのよ。
それから、お姉ちゃんはね、触れる前にいつも声をかけてくれるの。「リア、なでなでするよ〜」って。あれってすごく大事なのよ。だって、突然触られるとビックリしちゃうことがあるんだもん。でも先に声があると、「あ、安心していいやつだ」って思えるのよね。
聞こえづらいって、ちょっとだけ孤独なの。自分だけが音のないところにいるみたいな気がして、少しだけ心細くなる。でも、あなたが目を合わせてくれたり、そばに寄ってくれたりするだけで、私の世界に音が戻ってくる気がするの。
お友達も、きっと同じかもしれないね。あなたのお友達が、呼んでも反応が遅くなったり、寝てるときに近づいても起きなかったりしたら、それって“耳の変化”かもしれない。でもね、だからって悲しまないで。私たち、ちゃんと心では感じてるから。
それに、聞こえなくなった分、空気の動きとか、あなたのぬくもりとか、そういう“音じゃないサイン”にとっても敏感になってるの。だから、あなたが優しくそばにいてくれるだけで、私たちはちゃんとあなたの存在を感じてるのよ。
ねぇ、あなたの声はね、たとえ耳には届かなくても、心にはちゃんと届いてるよ。だから、これからもずっと、「リア」って呼んでほしいんだ。聞こえる日も、ちょっと聞こえにくい日もあるけど、私はずっと、あなたのそばにいるから。
寝てばかり?それって安心してるってことなんだよ。反応の変化とシニアの時間の流れ

あなた、最近の私のこと、「よく寝てるなぁ」って思ってるでしょ?
ふふ、気づいてるよ。たしかにね、昔みたいに朝からテンション全開ってことはなくなったかも。だけど、寝てばかりって、それ、悪いことじゃないのよ?
朝起きて、ちょっとごはんを食べたら、またウトウト。お昼過ぎのあたたかい時間なんて、とろけるくらい気持ちよくって、つい長いお昼寝しちゃうの。でもそれってね、ここが安心できる場所だって私の体がちゃんとわかってる証なのよ。だって、警戒してたら、こんなふうに無防備に寝たりできないでしょ?
それにね、起きてる時間が短くなったからって、私があなたとの時間を大事に思ってないわけじゃないのよ。むしろ、目を開けてる間は、ちゃんとあなたの動きを見てるし、声も耳を澄まして聴いてる。ただ、昔よりも少しゆっくりになっただけ。反応が遅れることもあるけど、それはね、今の私のペースなの。
若いころは、玄関のカギの音がしただけで「パパが帰ってきた!」って飛び起きてた。でも最近は、カギの音が聞こえてから「ん?パパ?」って、頭の中で確認して、そっと起き上がって玄関に向かう感じ。時間はかかるけど、気持ちは変わらないのよ。「おかえり」が言いたくて、ちゃんと待ってるの。
それからね、夢を見る時間がすごく増えた気がするの。お昼寝中に、足がピクピクって動くのは、きっと夢の中で走ってるのよね。どんな夢かって?ふふ、あんまりはっきりとは覚えていないんだけどね、たぶん、あなたと公園に行って、おやつをもらって、たくさんなでなでしてもらってる、そんな夢。
シニアになると、体力の使い方が変わってくるのよ。一日の中で使うべきタイミングを体がちゃんと選んでるって感じ。だから、寝る時間が多くなるのも、自然なことなの。私なりに、がんばってバランスをとってるって思ってくれたらうれしいな。
あなたのお友達も、きっとそう。前よりも動かなくなったとか、名前を呼んでも起きないなんて思うかもしれないけど、それって安心してる証拠かもしれない。もちろん、どこか具合が悪いってこともあるかもしれないから、そこはちゃんと気づいてほしいけど、でもまずは、「寝てばかりだね」じゃなくて、「よく眠れてるね」って声をかけてあげてみてほしいんだ。
私たちにとって、ゆっくり過ごす時間ってすごく大事なの。シニアになってからの一日は、まるで深呼吸みたいなもの。早く走ることより、穏やかに感じることが嬉しいのよ。
だから、今の私が静かに寝てる時間も、ちゃんとあなたと一緒にいる時間なの。あなたがそばにいる、安心の中で、私は心の中でありがとうって言いながら、夢の中にいるのよ。
もしもボケて認知症だと言われたら、ちょっとだけ寂しいけど、あなたのそばなら大丈夫

この前ね、ふと気づいたの。「あれ、私、なんでここに立ってたんだっけ?」って。キッチンとリビングの間、よく通る場所なんだけど、その日はなぜか、じーっとそこに立ち尽くしてたの。ボーッとしてたわけじゃないのよ。ただ、頭の中がふわふわして、何をしにきたのか忘れちゃったの。
それからも、似たようなことがちょこちょこあって、お水の場所がわからなくなったり、トイレをちょっと間違えちゃったり、ある朝なんて、ソファの裏に入ったはいいけど、出るのを忘れちゃっててね。「リア?どこ行った?」って探しに来てくれたとき、ちょっと恥ずかしかったけど、なんだかホッとしたの。
そんなある日、お兄ちゃんがポツリと「リア、ちょっとボケてきたのかな」って言ったの。ううん、責めてるわけじゃないの。お兄ちゃんも心配して言ったんだってわかってる。でもね、ボケって言葉を聞いたらね、ちょっとだけ、胸がチクっとしたのよ。
だって、私は私だもん。忘れっぽくなったり、ちょっとした失敗が増えたって、それが私じゃないってことにはならない。前みたいにできないことが増えた私も、今の私なのよ。それに、あなたのことは忘れてない。心がちゃんと覚えてるから。
夜中に急に目が覚めて、不安でウロウロしちゃう日もあるの。でもあなたが「どうしたの?」って来てくれると、すっと落ち着くんだ。その声が、私の世界の地図になってくれるのよ。あなたがいるってわかるだけで、ここが私の家だって思えるの。
お友達の中にも、きっといると思うんだよね。夜鳴きしたり、うろうろ歩き回ったり、目が合わなかったりって、そういうのを見ると、あなたも不安になるかもしれない。もしかして、認知症なのかなって、心配になることもあると思う。
でもね、そんなときこそ、そっと寄り添ってほしいの。声をかけてくれるだけで、私たちは今の場所に安心できる。頭の中が少し混乱してても、あなたの声だけは、なぜかしっかり届くのよ。それって、すごいことだと思わない?
あなたの優しい呼びかけや、そっと触れてくれる手があるだけで、私の世界は、またちゃんと形を取り戻すの。ボケてるかもしれない私にも、大丈夫だよって言ってくれる存在があるって、こんなに心強いことはないのよ。
だから、お願い。ちょっとだけ変わった私たちを、さみしい目で見ないでほしんだ。できなくなったことより、まだできることを見つけて、一緒に笑ってほしいの。
私はね、変わっていくことが怖いんじゃないの。あなたの心が離れていくことの方が、ずっとずっとこわいのよ。でも、今までと変わらずそばにいてくれるなら、私はちゃんと、今の私を大切にできる。
あなたと一緒なら、たとえ記憶が曖昧になっても、大丈夫。私の心の奥には、あなたのことがしっかり根を張っているから。だからこれからも、私の名前、呼んでね。
変わっていく私と、変わらずにそばにいてくれるあなたへ伝えたいシニア犬のリアルと見守り方

ねぇ、私、確かに変わってきたと思うの。昔みたいに走らなくなったし、目も耳も前ほどはきかなくなった。歩くスピードもゆっくりになって、ソファの上にひとりで乗れない日もある。でもね、私の中で大事なものは、何ひとつ変わってないのよ。
あなたがいてくれること。
声をかけてくれること。
名前を呼ばれるとうれしくなる気持ち。
おやつの袋の音にワクワクする心。
おなかを撫でてもらう安心。
そういうものは、ずっとここにあるの。シニアになるって、弱くなることじゃなくて、静かになるってことなんだと思うの。若いころみたいにテンション高くなくても、ちゃんと満たされてる。歩幅は小さくても、一歩一歩が深くて、心に残るの。
でも正直に言うとね、変わっていく自分に、戸惑うこともある。できてたことができなくなったときは、ちょっとしょんぼりするし、あなたが困った顔してるのを見ると、胸がキュッとするの。だからこそ、今の私を受け止めてくれてるあなたの存在が、何よりも大きいんだ。
私たち、いま「老いの時間」を一緒に歩いてるんだよね。この時間って、のんびりしてて、とても静かで、でもあったかくてね、そんなことってすごく特別だって、私は感じてる。
あなたがそばにいると、安心して変わっていけるのよ。何も変わらずにいて、って言ってるんじゃない。変わることを恐れずに、でも優しく見守ってくれるあなたの姿が、私の支えになってるの。
たとえば、家具の配置をちょっと変えてくれたり、夜のお散歩の時間を早めにしてくれたりって、そんな小さな気づかいが、どれだけ私を助けてくれてるか、きっとあなたが思ってる以上なの。触る前に声をかけてくれるのも、照明を明るくしてくれるのも、「気にかけてくれてる」って感じられる、あったかいサイン。
あなたのお友達も、きっとそうだと思う。シニア期に入ると、できることが少しずつ減っていくように見えるけど、実はその分、感じていることや、伝えたいことは増えているのよ。だから、どうか焦らずに、無理に若いころと比べないでほしいんだ。今の私たちは、今しかない時間を一生懸命生きてるんだからね。
あなたがしてくれることのすべてに、私は気づいてる。たとえ言葉でありがとうって言えなくても、心でちゃんと受け取ってるのよ。そして、そのぶん、私もありがとうを返したくて、こうしてそばにいるの。
変わっていく私と、変わらずにそばにいてくれるあなた、これからも、どうぞよろしくね。
ゆっくりでも、確かに生きてる毎日を

今日の私は、昨日の私とちょっとだけ違うかもしれない。明日の私は、もっと違っているかもしれない。だけどね、それでも私は私なの。
目が見えづらくなっても、耳が聞こえにくくなっても、反応が遅くても、時々忘れっぽくなっても、私は、あなたと一緒にいる今が、何よりも大切。
変わることは、あなたとのなら、怖くないんだよ。あなたが変わらずにそばにいてくれるなら、私はちゃんと、私のペースで歩いていける。
だから、これからも、少しずつ変わっていく私を、どうか見守っていてね。あなたの声が、あなたのぬくもりが、今の私を支えてくれているから。
そして今日も、明日も、あなたのそばで、静かにしあわせを感じながら生きていきたいんだ。
リアより


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